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Enjoy Simple English

2年前、「日本の英語教育は何が問題なのか」と、このブログに書きました。

http://yamazato.ic-blog.jp/home/2012/03/post-5f56.html

こう書きました。

「日本の英語教育は何が問題なのでしょう。」

「ほとんどの人が、中学・高校で6年間英語を学び、さらに進学して英語を学ぶ人も多いこの日本で、しかも、英語教育に非常に多額のお金を費やしているこの日本で、平均的な英語力はアジア諸国中で最低ランクというのはどういうことなのでしょう。」

「答えは出ています。 英文を読む量が少なすぎるのです。だから、身につかないのです。 それは、プールに入らないで水泳の練習をするようなものです。水泳の理論について何年講習を受けたって、どんな高度な理論を学んだって、水に入らずに泳ぎが上達するはずがないのです。」

云々

私は山形県村山地方の山里に暮らしています。 都会の暮らしも経験しましたが、今は田舎で建築業と農業の日々です。日常、特に困っていませんが、本が買えないという問題があります。買いたい本があるときは山形市に出るかネットで買うかです。先日、ある町に行ったときにたまたま小さな本屋を見つけて立ち寄り、Enjoy Simple English というNHKラジオのテキストを買いました。わかりやすい英語で書いてある短編集です。うちの子どもにいいかと思って買ったのですが、家に帰って読んでみるとおもしろくて、自分が中学や高校の頃にこんな教材があればよかったのにと思いました。

このテキストの「本書の使い方」から引用します。まったく同感だからです。出典はNHKの「Enjoy Simple English 2014年6月号」です。

引用開始

(略)辞書を引いたり、つづりを書いたりする必要はありません。「さらっと」目を通すくらいで結構です。

読んでいて知らない単語や表現が出てきたら、これまでの流れから推測してみましょう。推測ができなくても、思い切って読み飛ばします。多くの場合、ストーリー全体の理解にはさほど影響を与えないはずです。辞書はできるだけ引かないようにします。読み飛ばすことに不安を覚える人もいるかもしれませんが、「読み飛ばしの気持ちの悪さ」を克服することが、たくさんの英語を「読める」「聞ける」ようになるための第一歩です。

引用終了

「読み飛ばしの気持ちの悪さ」は、受験英語によって植えつけられたのかもしれません。まめに辞書を引いたり、つづりを書いたり、熟語や構文を丸暗記したりする学習法も、多読の妨げになってきたのでしょう。

日本の中学・高校の英語教科書に出てくる英単語の総語数は約3万語だそうです。ここで総語数というのは、同じ単語が100回出てくれば100と数え、500回出てくれば500と数えての語数の総合計です。

英米のちょっとした児童書や短編小説だって、一冊の総語数で数千語~数万語の単語が使われていることを考えれば、6年かけて3万語は、いくらなんでも少なすぎると思います。教科書以外の英文も読むにしても、その多くは、学習参考書の文章だったり、試験問題の英文だったりして、話がつながってゆくものでもないし、読んでもあまりおもしろくないのです。

私もそうでしたが、多くの日本人にとって英語学習は苦痛であり、苦労の割には効果があがらないものでした。どうも、これまでの英語教育は、英語に慣れ親しんで実用的に使えるようにすることが目的ではなく、試験で高得点が取れるようになることが目的だったのではないかと思えます。そういう価値観だと、英語の本を多く読むことより、試験によく出る問題を数多くこなすことの方が大事ということになるのでしょう。

Enjoy Simple English には、「自分の気に入ったストーリーを何度も繰り返して読んでみましょう」とも書いてあります。そのとおりだと思います。

Enjoy です。自分が楽しいと思わないものが、真に上達するはずはない、と思います。 向上のための試練もあるでしょうが、その先に喜びがあるのです。喜びを感じられない学習、苦痛なだけの学習に、真の上達などないでしょう。

幸い、英語学習についての世の考えが変わりつつあります。Enjoy Simple English のようなテキストが入手しやすい形で地方の書店にも並んでいます。もっと変わってほしいと思います。これまでの精神主義的な教育から、本当に大切なことを喜びながら身につけていける教育に。

以前も書きました。「どんな分野だって身につけるためには努力も時間も必要ですが、どうせ英文を読むなら、苦しみながらではなく楽しく読んだほうがいいでしょう」と。

(伊藤一滴)








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