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イエスが生まれ育った時代の1デナリ銀貨

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一円玉は大きさの参考


イエスが生まれ育った時代の1デナリ銀貨を入手しました(たぶん、本物)。
皇帝アウグストゥス(在位、紀元前27~紀元14年)の名と肖像が刻まれています。
CAESER AUGUSTUS とあります。Uの字がVみたいに見えますが、この時代、UとVの字体がはっきり区別されていなかったようです。

新約聖書のイエスの発言に「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に」とありますが、イエスが伝道活動した時代の皇帝はティベリウス(在位、紀元14~37年)ですから、イエスが手にしたという銀貨に刻まれていたのは当時のティベリウス帝だったのではないかと思います。
私は当時の硬貨に詳しくはありませんが、古代に一斉に貨幣の切り替えができたとも思えないので、新旧両方の硬貨が混在していたのかもしれません。


新約聖書のたとえ話だと、イエスの時代にぶどう園で働いた人の1日の賃金が1デナリですが、今の日本の一円玉と比べても、こんなに小さいのかと、ちょっと驚きでした。
1デナリ銀貨の大きさがわかる資料があまり出回っていないようなので、ご参考までに写真を載せておきます。

もう一点、ご参考までに書いておきます。
1日の賃金が1デナリというのは有名な話ですが、実は、その論拠は新約聖書のたとえ話だけで、他にイエス時代の日給がわかる史料は確認されていないそうです(田川建三『イエスという男』他による)。たとえ話ですから、切りのいい数にしたのかもしれないし、ぶどう酒の原料のぶどうを腐らせないよう大急ぎで収穫するために高めの日当をあげていたのかもしれません。「イエス様の時代、一般の人の日給は1デナリでした」なんて、わかったように言わない方がいいようです。

(伊藤一滴)

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