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意義変遷と無責任 東京オリンピック

今回の東京オリンピックの「意義」やあり方について、政治家たちが過去から今までどういう発言をしてきたのかネットで調べているうちに、その移り変わりに嫌気がさし、引用したくもなくなりました。

ある催しを実施する「意義」等は、その時々で、猫の目のように、カメレオンの皮のように変わっていくものなのでしょうか。


引用したくもないのですが、意義変遷の証拠ですから、少し引用すると、


震災からの復興を示す(石原慎太郎氏、野田佳彦氏、猪瀬直樹氏、竹田恒和氏、他多数 2011〜2013年頃)

観戦に来た人が京都や東北の被災地などにも足を運べば、観光で日本各地が潤う(舛添要一氏 2014年9月9日・読売新聞)

レガシーを構築する(小池百合子氏 2016年 何度かこの発言)
(レガシー? 負の遺産? 一滴)

「復興五輪」に加えて、「もったいない」「アスリートファースト」の理念(小池百合子氏 2016年12月1日)
(弁当を大量に廃棄し、選手を炎天下にさらしましたけど 一滴)

人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証(安倍晋三氏、菅義偉氏、小池百合子氏、他 2020年)
(打ち勝った? 一滴)

世界が一丸となってコロナ禍という難局を乗り越え、人類がその絆をさらに強めた象徴となり、人々にとって希望の灯りとなる(小池百合子氏 2021年3月11日)

呪われたオリンピックって、マスコミの好きそうな言葉でしょ。でも現実はそうですよ。40年ごとに問題起きたんだから。事実でしょうが(麻生太郎氏 2021年3月18日)
(麻生さん、相変わらず言ってくれますね 一滴)

このコロナ禍で分断された人々の間に絆を取り戻す、大きな意義がある(丸川珠代氏 2021年5月11日)
(「新型コロナウイルスに打ち勝った証」と言わなくなった 一滴)

世界が新型コロナという大きな困難に立ち向かい、世界が団結してこれを乗り越えることができた、そうしたこともやはり世界に日本から発信をしたい(菅義偉氏 2021年6月9日)
(乗り越えることができた? この時期にまだそんなことを言ってたんですか 一滴)

──極めて政治的な意図を感じざるを得ませんね。彼ら(東京オリンピック開催に反対する人たち 引用者)は、日本でオリンピックが成功することに不快感を持っているのではないか。共産党に代表されるように、歴史認識などにおいても一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対しています。朝日新聞なども明確に反対を表明しました。(安倍晋三氏 月刊誌『Hanada』2021年8月号)


なんか、これまで造られてきた多目的ダムという「無目的ダム」建設と似ていると思いました。
発電にも農業用水の確保にもなるダムと言いながら、過疎化が進んでそれほど電気もいらないし農業用水も不足していない。それを指摘されると、治水対策のためにも必要とか言い出す。目的が変遷するダムが造られました。
オリンピックも似ていて、本当の目的は業者を動かす経済効果でしょうが、それにもっともらしく理由をつける。取り繕うとするけれど、時々ゆがんだ本音も飛び出す。
表向きの意義は変遷し、さかんに言われた「震災復興を世界に示す」が消え、「新型コロナウイルスに打ち勝った証」になって、それも言わなくなりました。そして今度は「絆」ですか。選手を隔離状態にして、絆ねえ。
オリンピックは業者を動かす経済効果が第一の目的ですって、正直に言ったらどうですか。


選手は何も悪くないし、現場の第一線で一生懸命働いている人たちも悪くないのですが、
それにしても、

次々に発覚する関係者の不祥事

危機管理はどうなっているのか

もうこれは、負のレガシーか

コロナ禍で公正な選手選考が行なわれたのか疑義があり、
コロナ感染で欠場した選手もいて、
メダルの価値さえ疑われてしまうオリンピック

責任の所在が不明確で誰も責任を取ろうとしない日本的無責任ぶりを世界に示すオリンピック


無謀なアジア太平洋戦争に突き進みながら誰も責任を取ろうとしなかった日本の無責任体質と変わらないじゃないですか。

特に安倍晋三さん、あなたはよほど自分の任期中に東京オリンピックをやりたかったのか、2年延期論を押し切ってコロナ禍でのオリンピックに突き進んだA級戦犯級の人です。モリカケサクラその他の諸問題をうやむやにしたまま、オリンピック開催に慎重な考えの人たちを反日呼ばわりするなど、反省のカケラもないようですが、あなたの責任はとりわけ重大です。

(伊藤一滴)

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