エヴァンズ著『聖書的な女性らしさの一年』の「屋根の上」の聖書的根拠
エヴァンズ著『聖書的な女性らしさの一年』、読書中です。
原題をそのまま訳せば『聖書的な女性らしさの一年:解放された女性が、自分の家の屋根の上に座り、頭を覆い、夫を旦那様と呼び、自分を見出した方法』みたいな感じです。
(A Year of Biblical Womanhood: How a Liberated Woman Found Herself Sitting on Her Roof, Covering Her Head, and Calling Her Husband Master)
最初にこの題を見たとき、屋根の上に座ることの聖書的根拠がすぐに思い浮かびませんでした。(※1)
聖書に、屋根の上に座る話なんてあったかなあー? 屋根に穴を開けて病人を吊り下ろす話ならあるけど、なんて思いながら『聖書的な女性らしさの一年』を読み進めて、やっとわかりました。
「聖書的根拠」はマタイ福音書に出てくるイエスの言葉です。「10:27 わたしが暗やみであなたがたに話すことを、明るみで言え。耳にささやかれたことを、屋根の上で言いひろめよ。」
屋根の上に座れとは書いてないので、立ってもいいのでしょうが、屋根の上と書いてあるんだから屋根の上で言い広めないと。
ちなみに「頭を覆い、夫を旦那様と呼び」の根拠は1コリントや1ペテロでしょう。(※2)
さて、「聖書に書いてあることをすべて文字通り信じています」と言う人たちは本当にやってるんでしょうか?
ちゃんと屋根の上でイエス様の御言葉を言い広めているんでしょうか?
「それは比喩的な表現です」なんて言わないでくださいよ。「神による人間の創造は比喩的な表現などではなく事実ですから、進化論は間違っています」なんて言い張るのに、こっちは比喩だなんて、主観的にああ言ったりこう言ったりは、なしですよ。
聖書に書いてあることを文字通り信じるとおっしゃるなら、ちゃんと屋根の上で語ってからにしてください。
「私たちは正しい聖書信仰に立つ福音主義のクリスチャンです」などと称して人を取り囲んで詰問したり、非難を浴びせたり、他派を貶めるビラを配ったりするより先に、まず、ご自分で聖書に書いてある通りにやってみればいいのです。やってみれば、目を覚ますチャンスもあるでしょう。
エヴァンズ氏は、聖書に書いてあることをその通りにやれるか本当に試したんです。
実際に屋根にも座りました。
やろうともせずに、「聖書を文字通り信じています」なんて、簡単に言ってもらっては困ります。
私ですか?
私は「文字通り」信じる立場ではないので、そういうことは何もしてません。
(伊藤一滴)
※1:後から調べたら、旧約聖書の「箴言」に「21:9 いさかい好きな妻と一緒に家にいるよりは/屋根の片隅に座っている方がよい。」(新共同訳)なんてありますけど、女性に屋根に上るようにと言っているのではありませんし、この箇所ではないようですね。
※2:聖書を「文字通り」信じるクリスチャン女性は、ちゃんと書いてあることを守っていますか? 被り物で頭を覆っていますか? 既婚女性であれば、主に従うように夫に従っていますか? 髪を切るのも駄目ですよ。そう書いてあるんですから。
実際にやろうとすれば、「聖書を文字通り信じる」というのは不可能だとわかるはずです。わからないなら、それはどこかでごまかしているからです。福音派の中の超保守派、福音派を自称する原理主義者や聖書カルトらは、実に、ごまかしが巧みです。
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