『戦争は女の顔をしていない1』(漫画版)を読む
先週の土曜日(2月15日)、やっと、注文していた『戦争は女の顔をしていない1』(漫画版)が届きました。
夢中で、何度も読みました。
思ったこと その1
まず、第五話から
第二次大戦中のソ連軍には、女性の兵士に女性用の下着を支給するという発想がなく、女性にも男性用の下着が与えられていた。
そんな状況だから、当然、生理用品の支給もない。負傷者用の包帯や脱脂綿も不足する中、代用品の入手にも苦労する。毎日30キロの行軍。行軍中に月経の血がズボンにしみる。血が乾いてズボンが「ガラスのように」なり、身体を傷つける。「いつも血の匂いがしていました」という。
敵機の爆撃の中、血の付いた体や衣服を洗おうとして川に入った女性兵士の数名が、爆弾の破片を浴びて死んだ。
「恥ずかしいって気持ちは 死ぬことより強かった」、という。
・・・・ひどすぎる。
あんまりだ。
ひどすぎる。
戦争は女の顔をしていない。
男の顔だって、していない。
戦争は、そもそも、人間の顔をしていない。
戦争は人間性を否定する!
私は、人間性を否定するあらゆるものが嫌いだ。
思ったこと その2
歴史を描く難しさの一つは、描く人の価値観が投影されてしまう恐れがあることです。
たとえ描く側が客観的に叙述しようとしても、読む側がどう受け取るかわかりません。
作者(取材者)と、異なる受け取り方をする人もいるかもしれません。
何かを述べれば、十分注意しても、述べた側が予想しなかった受け取り方をされるかもしれませんし、何らかの主義主張に利用される可能性だってあります。
でも、たとえそういった恐れがあっても「ソビエト軍に参加した女性たちのことを歴史にはっきり刻んでおいたほうがよい」と、私は思います。
それをどう受け取るかは読む側の責任です。
「かっこいいと思って戦争を美化する人がいるといけないから、述べない方がよい」とはなりません。
「社会主義の正当化に使われるといけないから、述べない方がよい」ともなりません。
私は、原作者と漫画家・監修者に、ただただ頭が下がります。
思ったこと その3
文字だけ読んでも、その光景を想像するしかありませんが、漫画版だと、絵を見ながら読めます。
監修者の、超マニアックな「ソ連軍の軍備・軍装の知識」のおかげで、おそらく、かなり正確な絵が描かれているのではないかと思われます。
この漫画は、当時のソ連軍の軍備・軍装の記録としても貴重です。言葉の記録としては原作にかなわないにしても、軍備・軍装の記録という点では、漫画版は原作を超えていると思われます。(欲を言えば、ある程度カラーページがほしかった、と思います。普及版と別にカラーページを入れた愛蔵版を上質紙・ハードカバーで出して、広く図書館や学校の図書室などに入れ、長く後世に伝えてほしい。)
(伊藤一滴)
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