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「金子文子と朴烈」追記

まだ映画「金子文子と朴烈」の余韻を感じ、パンフレットを開くと頭の中にテーマ曲が流れてきます。
それぐらい衝撃的と言うか、感動的と言うか、すごい映画でした。

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昨年の、韓国「殉国先烈の日」(11月17日)に、金子文子は韓国政府から建国勲章を贈られました。(金子文子はもちろん、受勲者は全員故人だそうです。)

https://jp.yna.co.kr/view/AJP20181115004400882
(聯合ニュース日本語版)

海外で日本人が讃えられて受勲ですから、悪い気はしませんが、違和感もあります。

金子文子も、朴烈も、韓国建国に尽くして殉じた英雄とはちょっと違います。

金子文子の場合、複雑な家庭環境でひどい目にあって育ち、ひどい目にあっている朝鮮の人たちに心を寄せました。
20歳で朴烈(パク・ヨル)の同志となり、内縁の妻となりました(後に獄中で正式に結婚)。
皇太子(後の昭和天皇)爆殺を企てたとして、朴烈と共に大逆罪で死刑判決を受け、恩赦で無期懲役に減刑され、その数か月後に獄中で死亡しました。自殺とされましたが、死因は不明です。享年23歳。
自殺であれば、減刑に対する抗議の死だったのかもしれません。

彼女を思想家と呼ぶ人もいますが、初等教育すらきちんと受けていないのに、知的で勉強家で、堂々と主義主張を述べています。獄中で書いた自伝『何が私をこうさせたか』(春秋社、のち岩波文庫)にしても、圧倒される本です。

彼女は激しく自分を生きたのです。朴烈に尽くしたとか、韓国に尽くしたとか、そういう生き方ではなくて、激しく自分自身を生きて、死んでいったのです。

過去の日本では逆賊、今の韓国では英雄です。

今の日本でも、心ある人たちは、敬意をもって見ています。

韓国建国の英雄とはちょっと違うと思いますが、時代の先駆者として信念を貫いたのは確かです。

(伊藤)

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