就農への道・その1
私は建築の仕事をしていて、平日は普通に働いていますし、私の休日は子どもも休みです。小5と小3の息子、それと保育園児の娘がいますから、家はにぎやかですよ。にぎやかを通り越してかなり騒がしいときも多いです。
そういう日々の合間にこのブログを書いています。
「ジネント山里記」は個人の雑記です。絵も写真もありません(そういう余裕がないのです)。
いろんな話が出てくるし、カテゴリーに分類されていないし、読みにくい文章のときもあります。読み返すと、送り仮名や用語の不統一もけっこうあります。本からの引用も、記憶での引用が多いので、原文と微妙な食い違いもあろうかと思います。
そんな中で、就農準備です。今年中か、遅くとも来春の田植えまでは正式に農業者になろうと、行動を開始しました。
途中経過を何度かに分けて紹介しようと思います。農業に関心のある方のご参考になればと思います。
農業者(農家)というのは1つの資格です。趣味の家庭菜園ならともかく、一定の農作物を生産し出荷するというのは、資格がなければできません。親が農家なら、わりと簡単に農家になれるのですが、そうでない場合はそれなりの手続きが必要です。
「非農家出身者が農家になるのは、司法試験に受かるより難しい」と言っていた人がいました。「司法試験だって百人受ければ数人は合格するのに、サラリーマンなどやめて農家にでもなりたいと思う人が百人いても、本当になる人が1人いるだろうか」と言うのです。でも、それって、資格を得る難しさではなくて、勇気の問題だと思います。
法律は矛盾しています。農家でなければ、農地を買うことも借りることもできません。ところが農家になろうとすると、農業の実務経験を問われます。農地を買うことも借りることも出来ないのに、どうやって実務経験を積むのか? 矛盾です。ハウツーものの本など見ると「まず農業法人などに就職し、実務経験を積み・・・」なんて書いてありますが、田舎に農業法人なんてあまりないし、従業員の募集も聞いたことがないです。農業を学ぼうにも、家庭を持つ身では、農業大学校等に行くのも困難です。
それに、新規就農には原則として50アール(5反=1500坪)以上の農地が必要です。農家は世襲が原則で、そうでない人の入口はどこにあるのか、という感じです。
私は、昨年から、近所にお住まいの真壁(まかべ)さんという高齢の地主さんに、田んぼの一部を使わせていただいて「実務」を始めました。実質的には農地を借りているようなものですが、法的には「農業の手伝い」です。これなら違法にならず、実務にはなります。「真壁さんの御指導のもとで稲作の実務をしています」と言うことが出来ます。生産する米は自家消費分(飯米)と真壁さんにお渡しする米(俗に言う年貢)だけなので、金銭的な収益はなく、課税もないです。
次に農協に相談しました。農協の人は親身に話を聞いてくださり、町役場の担当者に連絡を入れてくれました。それで私は役場の農林担当者にお会いし、就農について相談し、手続きを伺いました。それから、役場の担当者に言われた通り、農業委員会に出向き、就農を希望する旨を申し上げ、合法的に農地を借りるため「農地法第3条の規定による許可申請書」を頂いてきました。
現時点は、そこまでです。
注意点を書きます。
新規就農には原則として50アール(5反=1500坪)以上の農地が必要です。これは借地でもいいです。
農業に対する意欲や実務経験が問われます。
兼業が禁止されているわけではありませんが、私の住む町では「会社員や団体職員などの身分のまま新規就農はできません」と言われました。社会保険・厚生年金等の加入者は会社員同等とみなされるとのことでした(全国的にそうなのかどうかはわかりません)。
なにより、農業は収入が低いので、低収入で生きていく覚悟が必要です。「就農し、収入は5分の1(あるいはそれ以下)になったけれど、今の方が何倍幸せかわからない」といった話をよく聞きます。何が人の幸せなのか、自分や配偶者を納得させる哲学が必要でしょう。(伊藤)
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