山里の暮らし 番外編 猫
前にもちょっと書きましたが、我が家の近くに猫を捨てていく人がいます。
困ります。
山の中に猫を捨てたりしないで、どうか里親を探してください。
それ以前に、不妊手術をお願いします。
人を見ると逃げる猫は、どうすることもできません。
でも中に、寄ってくる猫もいます。怪我をしている猫もいます。
これまで何匹かの猫を助けました。
今は成人した次男が中学生だったときでした。誰もいない場所でチリンチリンと鈴の音がします。
ちょっと不気味でしたが、何だろうと思って見に行くと・・・・、鈴のついた首輪をした白猫が家の敷地に入って来てました。やせていて、汚れていて、おなかをすかしているようです。歩き方も変で、足が不自由なのかと思いました。玄関にエサを置いたら食べていました。
鈴のついた白猫なのでスズシロ(鈴白)と呼ぶことにしました。
近づいてよく見たら、首輪がきつくなって首に食い込んでいます。子猫のときに首輪をしたまま捨てられ、そのまま成長したんでしょう。ひどいなあ。痛いだろうに。
首輪を外してやろうとしたんですが、触ろうとすると逃げます。エサは食べるし、人の近くまでは来るんですが、触らせてくれません。
首輪の周りに血が滲んでいます。足が悪いのではなくて、首の傷のせいで歩くのが不自由だったようです。首をうまく動かせないから毛づくろいも出来なくて、汚れていたのでしょう。
次男と2人で捕まえることにしました。噛まれるといけないので2人とも厚手の服を着て、厚手の革手袋をして、エサを食べに来たところを狙い、次男に魚を捕る網でさっと捕まえてもらいました。私がおさえて首輪を外そうとしたのですが、スズシロは必死で抵抗します。殺されると思ったのか、猫も本気です。
何とか早く首輪を外してやろうとしても、首輪は皮膚に食い込んでいて、金具の部分も含めて首輪全体が血と膿で固まっていて外せません。スズシロは声を上げてもがくし、もう仕方ない。妻にすぐ工具箱からニッパーを持ってきてもらい、首輪を切りました。首の皮膚も一部切れましたが、食い込んだ首輪だけを切れないんで仕方ないです。消毒してやろうと私が手を緩めたら、スズシロは不自由な走り方でダーッと逃げてしまいました。
何日かして、スズシロはエサを食べに来ました。首輪がなくなっています。切ってあげたんで、食い込んでいた首輪が外れたようです。その後だんだん傷もよくなっていき、うまく歩けるようになりました。次男のところに寄ってきて、だっこもできるようになりました。でも、私にはなかなか慣れません。私からおさえられて、首輪を切られて、よほど怖かったんでしょう。
首輪が食い込んでいた跡は毛が生えずに残りましたが、傷自体は治っていきました。
そしてだんだんに私にも慣れてきました。
でも、ある日、スズシロは突然来なくなりました。どこに行ったのか探せません。事故にでも遭ったのかなって思いました。
もう死んだのかもしれないと思っていたら、半年くらい経って突然あらわれたのです。雪の日でした。雪の上を元気そうに歩いて来ました。体格もよくて白い毛並みもきれいです。
「スズシロ~。ひさしぶり~」って声をかけたら、寄ってきて、エサをあげたら食べて、家の周りで少し遊んで、それからまたいなくなりました。
どこかの家で飼われるようになったのかもしれません。久しぶりに、うちに挨拶に来たのかな?
スズシロ、生きてたんだね。助かって良かった。
(伊藤一滴)
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