山里の暮らし1
久しぶりに山里の話です。山里記ですから、山里の話も書かないと・・・・。
私の一家は、2005年の3月末から山形県の山の中で暮らしています。
転居したときこう書きました。
http://yamazato.ic-blog.jp/home/2005/03/post_1.html
東京で結婚した私たち夫婦は、その後地方都市で暮らすようになり、2人の子にも恵まれました。でも、地方と言えど都市化した街の中の暮らしに馴染めないでいたときに、たまたま売りに出ていた山間部の古民家を見つけ、すっかりほれ込んで、なんとかお金を工面して購入しました。
いかにも雪国の山の中で豪雪に耐えてきたようながっちりした古民家でした。1933年(昭和8年)に建てられたという家で、太いケヤキの大黒柱があって、板の間に囲炉裏もあります。漆喰(しっくい)塗りの壁は長年の煙に燻されて、濃いセピアの味わいのある色になっています。昔が封印されて残っていたような家です。
購入後しばらくは休日に来て一泊する別荘のようにして使っていました。手持ちの資金も底をついており、家のメンテナンスにお金が回らず、壁のヒビ、建具のズレ、隙間風などもそのままでしたが、実に居心地がいいのです。保育園児だった子どもたちも、家の周りで元気に走り回っています。大自然の中です。交通事故の心配もありません。
「ここに来るとみんな元気になるね」と妻と話していました。家の敷地が約千坪あり、他に山の畑や雑木林もありました。
地方都市の暮らしは便利とされていましたが、車が多くて子どもから目を離せないし、しつこい勧誘の人が来たり、不審者情報があったり、保育園児の父母の中には身勝手な人がいて振り回されたり、疲れる毎日でした。
山里に来ると、別世界でした。
まわりは大自然。とても眺めがいいし、水も空気もおいしのです。いるだけで癒されていくようです。頭の中で「となりのトトロ」のテーマ曲が流れるような感じがしていました。
当時、集落に15件ほどの家がありました(現在は10件ほど)。
隣の家まで100メートル以上あり、子どもが騒いでも気にせずにいられます。
集落の人たちも私たちを歓迎してくれて、もう、こっちで暮らしたいと思うようになりました。
ふもとまで下りれば保育園も小学校もあってバスで送迎してくれるというし、ふもとから橋を渡って川の向こうまで行けば小さなスーパーや郵便局や銀行もありました。
長男が小学校に上がる2005年に、意を決して引っ越しました。
3月、まだ、一面の雪でした。
近くまで車で行けないので、公道から約100メートルの雪の山道を、手で荷物を運んでの引っ越しでした。衣類などは少しづつ手に持って運びました。あとからソリを使ったりもしましたが、ソリの中に雪が入って荷物が雪まみれになって大変でした。
雪が降る前に小型の冷蔵庫を運んでいたのですが、洗濯機がまだで、雪解けまで洗濯機のない暮らしでした。
よくやったな、と思うんですが、私は40になったばかりで妻は30代でしたから、まだ若かったんですね。
その年の冬に娘が生まれ、5人家族になりました。
続く
(伊藤一滴)
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