英語学習のこと
be動詞のことを書いていたら思い出しました。
高校生のときでした。be動詞って「~は存在する」という意味ではないかと思って、英語の先生に聞いてみたんです。そしたら、
「それは違う。文語体ではそういう意味でも使うけど、普通は「~は~だ」とか、「~は~にいる、ある」といった意味だね。他の用法も辞書に載ってるから、見ておくといいよ」
と、まあ、そういう答えでした。
今思うと、当時の私の問いとそれに対する先生の答えがずれていたのです。私は、be動詞そのものが持つ概念を聞きたかったのに、先生は日本語に翻訳するときはこう訳すという意味で答えたのです。
それは、しかたのないことです。
1970年代末~80年代の初めの高校です。当時の先生たちは、戦前・戦中生まれが多かったし、先生たちの師に当たる人たちは、戦争中にちゃんとした英語教育を受けられなかった世代ですから。
「英文を読むとはつまり日本語に翻訳すること」みたいな風潮がありました。私も、他の学習法を知らず、頑張って翻訳しようとして、なかなか英語学習が進みませんでした。漢文を読むように、ひっくり返したり、後ろを先に読んで戻ったりしながら、日本語にして読み進めようとしていたのです。
当たり前ですが、英米の人たちは、英文を左から右にそのまま読みます。ひっくり返したり、後ろを先に読んだりしません。自分もそうしてみようと思ったのは大学を卒業してからでした。
関係代名詞や関係副詞が出てきても(それが制限用法でも非制限用法でも)、左から右に読む。that節が出てきても、to不定詞が前の名詞を修飾していても、戻ったりしない。すべて、語順のとおり左から右に読む。訳す必要があるとき以外は訳さず、英文を英文として読む。そういう読み方をしてみました。
変なプライドも何もないので、英米の幼稚園児が読むような絵本を買ってきて、暗記するくらい読みました。けっこう、楽しく読みました。次に英米の小学校低学年向きの読み物を買って、これも何度も繰り返して読みました。そうやって、少しずつ読む本のレベルを上げてみたのです。英語の感覚のようなものが、だんだん身についてゆくのがわかりました。これは、それまでやったどんな英語学習より効果的でした。
今はいろいろな学習法が言われ、辞書も文法書も充実していますが、私が中学・高校の頃は、日本式の受験英語が主流でした。
私の本当の英語学習は、大学を卒業してから始まりました。
(一滴)
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