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be動詞って何だろう?

This is a pen.

これが、私が中学1年のときの英語の教科書の最初の文でした。この is がbe動詞です。原型がbe、主語の人称や時制によって変化します。

be動詞をどう教わったのか、はっきりとは思い出せませんが、たぶん、「is や are といったbe動詞というのは、~は~ですという意味です」といった説明だったと思います。中1の私は混乱していました。

たとえば、

「僕は昼にカレーを食べたけど、君は何を食べた?」「私はスパゲッティです」

「私は日本酒が好きだが、君は?」「僕はビールです」

といった「~は~です」という表現は、日本語として不自然ではありませんが、「A is B」にはなりません。

今とは違います。40年前の山形県の農村の中学生です。英語にまったく触れずに中学生になったのです。何の予備知識もありません。

「A is B」が「AはBです」なら、「AはBです」は「A is B」になるのではないかと思ったのです。なぜ、上のような文にbe動詞が使えないのか、中学生になったばかりの私にはまるでわかりませんでした。

その後、「be動詞とは=のこと」と教えてくれた人がいました。「A is B」とはつまり「A=B」なのだと。そう考えれば上の例はイコールにはならないわけだから説明がつきそうですが、それでも、やはり混乱しました。「A=B」なら「B=A」が成り立つはずだ、これが成り立たないなら=ではないはずだ、と数学的に思ったのです。

たとえば、

She is beautiful.

という文章の、左右を逆にできるのだろうか。逆にしたら変だ。

He is a teacher.

はどうだろう。これも左右逆にしたら変だ。だったら、イコールじゃない。

「be動詞って、いったい何だ」という謎がずっと私の頭の中にありました。

今は答えられます。be動詞はbe動詞です。ぴったり当てはまる日本語はありませんが、あえて言えば、「~は存在する」といった感じの動詞です。「~は~というものとしてある、いる」といった意味になって、訳せば「AはBです」となるときも多いのですが(SVC)、場所が示され、「~は~にある、いる」となることもあります(SVM この場合、 S は一般に特定の人や物)。引用などで、「存在する」という意味で出てくることもあります(SV)。

でも、どれにしても、「~は存在する」ということです。

例を挙げます。(英文はどれも「ジーニアス英和辞典」より)

1(SVC)John is a lawyer.

2(SVM)The radio is in my room.

3(SV) God is. 

1の例。「ジョンは存在する、一人の法律家として」→「ジョンは法律家です」

2の例。「そのラジオは存在する、私の部屋の中に」→「そのラジオは私の部屋にあります」

3の例。「神は存在する」(文語的な表現、今は There is God. が普通)

よくイコールで説明されるのが1の例ですが、C が特定の人や物のとき以外、左右の入れ替えはできません。英語の先生は、数学の先生と何も打ち合わせをせずに、S=C なんて教えてしまうんです。数学的に S=C が成り立つなら、必ず C=S も成り立つはずなのに。左右を逆にすると成り立たないのにイコールで結ぶってどういうことなのか、中学生は(高校生も)混乱します。「be動詞というのは、~は~ですという意味です」なんていうのは、もっと混乱する説明です。

2の例は、第1文型だと教えられます。in my room は場所を示す副詞句であって、文の構成要素ではないと言われ、また混乱します。文の構成要素でないなら、削除しても文として成り立つはずだと思うのです。The radio is. そのラジオは確かに存在すると文語的に言えばそうかもしれませんが、どこにあるのかを相手に伝える肝心な言葉が抜けています。S,V,O,C のどれにも当たらないという意味で文の構成要素ではないけれど、その文の中で欠くことのできない修飾語句があります。もちろん、このbe動詞はイコールにもなりません。

3の例は、今では特殊な言い方とされ、あまり教えられていないのかもしれませんが、私はこの表現にbe動詞の根本を感じます。「~は存在する」ということです。 1の例も2の例もまずそれがあって、どのようなものとしてあるのか、どの場所にあるのかが、あとにあるのです。

ちなみに、There is God. のような There is 構文も、中学生の私にはわけの分からない文でした。この構文の There は、もともとは「そこに」という意味の副詞でしたが、歴史の中で「そこに」の意味が失われ、単に存在を示すようになったのだろうとのことです(『実践ロイヤル英文法』他)。だから、主語の位置にあっても主語ではなく、形だけの副詞と考えられ、この文は第1文型になります。

このあたりが、英語の学びの場できちんと伝わっているのでしょうか。

(一滴)

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