脱穀
今年の米は百パーセント天日干しです。
10月23、24日に脱穀を予定していたのですが、状態をみたら、やや湿り気を感じ、あと1週間乾かしてさらに乾燥をよくしてから脱穀しよう思いました。それが、あだになりました。
翌25日は曇り空。26日から連続で雨。
11月に入っても雨の連続。
もう、米を乾かしているんだか濡らしているんだかわからないような状態になりました。
地主さんや近所の農家の人たちに相談したら、みんな、わりと平気な顔です。
「大丈夫だよ、伊藤さん。米はね、けっこう乾くもんだ。オレなんか雪が降ってから脱穀した年もあったぞ」
みたいな感じなんです。
連日の雨で田んぼがびしょびしょで、たとえ晴れてもすぐに入れそうにないし、日に日に気温も低くなり、ますます乾きにくくなるしで焦ってきました。
子どもたち(小6、小4、保育園)が、パパが心配しているのを見て、てるてる坊主をたくさん作って応援してくれました。いい子たちです。
11月5、6日は曇り空。7日(日)にようやく快晴。
今日こそ脱穀だ、と思いましたが、朝露で稲束が濡れているので、早朝からは始められません。
ハーベスター(自走式脱穀機)を田んぼに運び、スタンバイして、露が乾くのを待ちました。
この日のために、大枚をはたいて買った水分計(米の含水率を計る装置)を使いました。借りようと思ったんですが、近所で持っている人がいません。「昔は使ったけれど、最近は使わないから処分した(あるいは、どこにしまったか探せない)」といった話ばかり。水分計なんて、そんなに需要がないそうで、高価です。稲作農家以外はまず買わないし、最近は人工乾燥(主に石油を燃やして乾かすモミ乾燥)が主流で、乾燥機が含水率も表示してくれます。天日干しをしないから、検査用などのほかは単体水分計が必要ない時代になりました。なんだか、写真撮影の単体露出計みたいで、露出はカメラが決めてくれるから、露出計なんていらない、みたいな話です。
水分計4万円は、零細農家にはちょっと痛いです。需要さえあればずっと安くなるんでしょうけれど。
干してある稲束から、ランダムに5箇所、ほんの少しモミを取って、高価な水分計で計って平均含水率を出しました。
16.5パーセント。悪くはないです。
長期保存には14%代が最良、15%代なら良。おいしく食べるには16%くらいだそうです。
雨が続いたわりには、意外に湿っていないものです。昔は、かやぶき屋根などの草屋根が主流でしたが、かやなどの植物は、勾配をつけるとあまり水を通さないから屋根材になりました。干してある稲束も、雨ざらしでもそれほど水を通さないようです。
午前10時半、作業開始。
家族総出で田んぼに行きました。頼んだわけでもないのですが隣町の私の父まで来てくれて、一気に脱穀です。
いやー、速い、速い。機械力プラス人海戦術。
妻はもちろん、高齢の父も、小学生の子どもたちも、かなり働いてくれました。
父は、
「オレは腰が弱いんで、機械の操作の方が楽だ」
と言うんでハーベスターの作業をお願いし(父はいろんな機械の扱いが得意)、妻と子どもたちが稲の束を杭から下ろして機械に投入。私は、出てきたモミと稲束をそれぞれまとめて運搬しました(実は、けっこう重い)。
そんなこんなで、夕方にはほとんど脱穀終了です。
機械が万能だとは思いませんが、やはり、機械は速いです。それプラス人手です。子どもだっていた方がいいです。保育園児の娘まで、稲束を運んでくれました。
今年の米もうまいぞ。
(伊藤)
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