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伝統建築は冬の時代

ご無沙汰しています。
仕事よりも、冬支度や日常の雑用が多くて、すっかりご無沙汰していました。
季節も冬ですが、建築業界も冷え込んで、冬の時代です。
そもそも仕事が少ないのに、法律がどんどん厳しくなり、地方の小さな建築業者は、1つ、また1つと廃業です。
大工さんたちは、ハウスメーカーの下請けくらいしか仕事がなく、伝統建築では食べていけない状況になりました。一般の人たちの生活の変化だけでなく、法律が、伝統建築を造りにくくしています。改正建築基準法と関係法令は日本の伝統を軽んじ、伝統建築を守ろうとする人たちを、生活できないような状況に追い込んでしまいました。
プラスチックのお椀が伝統的なうるし塗りの椀を駆逐してきたように、工場で量産される建築が、伝統を守ろうとする建築職人を苦しめてきましたが、さらに追い討ちをかけるような法改正です。
改正法への対応は、とにかく手間がかかって、人員のそろった会社組織のハウスメーカーならともかく、個人や夫婦で経営しているような小さな設計事務所や工務店などは四苦八苦です。以前なら必要がなかった多くの雑務に追われ、肝心の設計や施工や工事監理がおろそかにされはしないかと、危惧しています。それと、設計者や建築職人の離職・廃業も多いです。雑務が大変になったし、大変なわりには収益につながらないし、見合わないほどの責任を負わされるしで、やめていく人たちの気持ちもわかります。設計者や職人が一人前になるまでの時間やその人の努力、まわりの労力を考えたら、重大な社会的損失だと思うのですが、どうも、専門的な知識や技術を収入につなげにくい状況になってきました。収入は低くとも生活できればともかく、長く学び、長い経験を積んできた専門職の人が、生活もできない程の低所得でやむなく離職していくというのはひどい話です。
建築基準法は、「改正」の果てに、日本憲政史上最大級とも言える悪法の1つとなりました。
「愛国心」を口にする人たちはこの状況をどうお考えなのでしょう。伝統的な日本の民家がつぶされ、祖先が大切にしてきた田畑が埋められてプレファブ住宅街に変わっていくのですよ。日本の伝統建築を守ろうとする人たちが、生活できないような状況なのですよ。
「愛国心」のパワーの一部を、伝統建築や伝統的な暮らしを守ることに使ってくれたらどうなのでしょうか。(伊藤)

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