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7月の田んぼ

梅雨になり、気温も上がってきました。
稲作の作業は、田植えの時まではやることが多いのですが、6~7月はひと段落という感じです。6月は深水、7月は浅水を保つことと、草取り、若干の追肥くらいです。それと7月の初め頃、水を抜いていったん中干しします。土に酸素を補給し、微生物の働きや稲の根の張りをよくするためだそうです。

今年は梅雨に入るまで雨が少なくて、6月中は3日に1度くらい水を入れていました。朝の5時頃に田んぼに行くと、もう先に水を入れている人がいたりして、農家は早起きです。山里は朝が早いですから、午前4時半から草刈りなんて当たり前で、5時過ぎには電話がきたり、来客があったりします。
田植え後に1度だけ除草剤を入れたので、昔の草取りを思えばそれほど大変ではないのでしょうが、どうもオモダカという雑草は、私が使った除草剤に耐性を持っているようで、これはよく見ます。Yの字を逆にしたような葉の形をしていて、茎を触った感触はサトイモの茎と似ています。7月に、白い、かわいい花が咲きます。花はきれいですが、湿原や池に咲くならともかく、田んぼに生えるのはちょっと困るんで、手で抜いています。
何だか、除草剤と雑草は、抗生物質と病原菌の戦いみたいになってきました。MRSAみたいなことが、雑草の世界で起きてきているようです。
私は、そもそも草や虫と戦いたくないし、あまり神経質になりたくないのですが、地主の真壁さんやまわりの農家の手前もあるので、ある程度、草抜きをしました。7月上旬の田んぼは、稲もだいぶ育っていて、青々しています。中干し前の田んぼの土は、中の堆積物が発酵し、ブクブク湧いてくる泥の海で、発酵の匂いがし、何とも不思議な感触です。田植えの頃が幼年なら、6~7月は育ち盛りといったところでしょうか。
田んぼの中に生もあれば死もあります。死んだ昆虫やカエルは溶けて土になります。そして、それも稲の栄養の一部になります。雑草にしても、私に抜かれれば死ぬのですが、死んだ草が微生物や他の植物に栄養を与え、生に転じます。約10アールの田んぼ1枚ですが、生も死も包み込む大海のような感じで、やはり、田んぼは神秘的な小宇宙です。

腰をかがめて泥の中を歩きながら草取りをする作業は、ふだんあまり使わない筋肉を使うようで、少し疲れました。
でも、気分はとてもさわやかです。(伊藤)

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