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近況雑記

ご無沙汰しています。
小さい子どもたちがいる生活は、時間がどんどん流れてゆきます。やることが多いです。手もかかりますし、子どもたちが次々にものを散らかしたり壊したりして、親の仕事を増やしてくれます。でも、それだけではないようです。たとえば黒電話の時代、子どもがいじっても簡単に壊れたり狂ったりしませんでした。今は電話も多機能になり、子どもがでたらめにボタンを押すと設定が変わってしまい、もとに戻すのがひと苦労です。パソコンをさわられたりするともっとひどいことになります。もう自分たちでは直せなくなり業者に頼まないといけなくなったりもします。電話やパソコンだけでなく、電器製品全般、電子制御化が進んで複雑になってきました。うちはそうした製品を増やさないようにしていますが、それでもいくらかはあります。便利な道具のはずが、やることを増やしています。電子機器文明は、どうも育児とは相容れないようです。私はまあ、「産業化が進んだせいでやることが多くなった」とぼやくのです。これでもまだ、山里に住んでいるので何とかこなしていますが、もし街にいたら、手のかかる幼ない児を3人かかえての暮らしはかなりしんどかったろうと思います。

金銭面でも格差が広がっているようですが、時間的にも、忙しすぎてどうしようもない人と、暇すぎて不安を感じている人と、二極化が進んでいるようです。産業化が進み、便利な機器が普及し、ある人たちは超多忙になり、ある人たちはやることがなくなって暇になりました。そして、みんな個々ばらばらに切り離された日本になりました。
山里暮らしはどちらでもありません。私はふだん夕方5時半過ぎにはその日の仕事を終え、家族で夕食を共にします。やることは多いですが、「心を亡くす」という意味の「忙」の状態ではありません。

小学2年の長男と保育園児の次男が家の中で大騒ぎしている最中に、まだ赤ちゃんの娘が泣き出したりすると、「親2人でどうやって子ども3人の相手をするんだー」と思えるときもありますが、しばらくして外に出ると、山里の自然に癒されるのを感じます。空気が凛としていますし、四季折々、風景が素晴らしいのです。朝に昼に夕暮れに、自然はそれぞれに素敵な表情を見せてくれます。夜になれば、星空だったり、月夜だったり、真っ暗だったりと、いろいろですが、それぞれ、じーんと沁みとおるみたいに、自然の中にいることを実感させてくれます。
こういう中におりますと、「子どもがさわぐのは当たり前、健全な証拠」と思えてきて、気持がおさまり、むしろ、感謝の念が湧いてきます。自分が生かされているのを感じるのです。

ついこのあいだまで暑かったような気がするのに、いつしか秋も深まり、薪ストーブが活躍中する季節になりました。火力の調整は薪の量と空気量だけです。めんどうな設定もなければ、子どもがいじって設定を変えてしまう心配もありません。街中の家にいたときにファンヒーターやエアコンを使っていた頃に比べると、ずっとストレスが減りました。それに、火が燃えるのを見ていると、それだけで心がなごむような感じがします。

寒くなる前に薪ストーブを少々改良しました。煙を出す位置を少し変え、点検やススの清掃をしやすくしました。それと、木酢液がけっこう発生するので、液がストーブの上に落ちないようにしました。木酢液がストーブの上にたれてくるとかなり焦げ臭いからです。できれば、この木酢液もうまく回収し、トイレの消臭その他に使いたいと思っています。

エコ生活が宣伝されますが、焚き木を使う暖房は何よりエコだと思います。まず、石油を使いません。燃料は家の周りの枯れ枝や倒木、間伐材、建築の端材(化学処理されていないもの)などです。原子力とも無縁だし、電磁波も出しません。それに、トータルで考えれば空気中の二酸化炭素濃度を増やしません。焚き木を燃やせばそのときは二酸化炭素が発生しますが、その木が育つときに二酸化炭素を吸っているので、差引ゼロです。長時間の煮炊き、食品の加熱、湯たんぽ用の湯沸しにも使えるので、ガスや電気の節約にもなります。もし、家庭の燃料をすべて焚き木でまかなえるようになれば、究極のエコ生活だろうと思いますが、現代ではちょっと難しくなりました。でも、昔はみんなそうしていたのです。

梅原猛著『神殺しの日本』[朝日新聞社2006]を読んでいます。エコロジー、縄文、アイヌ、多神教、今の時代、そして予想される今後のことなど、共感できる点が多いです。それにしても梅原さんはすごい人だと思います。いずれコメントできるかと思います。

当地では「いも煮会」のシーズンになりました。川原などに大きなナベを持って行き、火を焚いてサトイモのお汁を作ってみんなで食べます。いも子汁とも言います。山形県の内陸部では牛肉を入れた醤油味、庄内地方では豚肉と厚揚げを入れた味噌味です。これからまだ何度かありますが、子どもたちにはいい経験になるだろうと思います。書いているうちに食べたくなってきました。(伊藤)

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