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伐採の適期は冬の新月期

日本の林業それ自体、業として成り立ちにくい状況で、木を伐採する時期を吟味するのも難しいのかも知れませんが、理想的な伐採は晩秋から冬、特に真冬がよいとされています。しかも、新月期(新月の直前)に伐採すると、カビや割れや虫害が少なく、腐りにくく、満月に近づくと逆になるんだそうです。
人間も、満月の頃は気分が高揚しやすくなるなんて言いますが、植物の状態も月の運行と関係あるようです。

伐採は晩秋から冬がよいというのは、以前から聞いていました。切り倒したら、葉がついたまま枯らすのだそうです。「木枯らしと言うだけあって、木枯らしが吹く中で木を切って枯らすんだ」なんて言ってた人もいました。
新月期の伐採についても、前にどこかで聞いた気がするのですが、文字情報として初めて読んだのは、雑誌「現代農業」2005年3月号でした。増田正雄さんという方が、文献を紹介し、自分でやった実験についても報告しておられました。
その「現代農業」誌の記事に、新月期、満月期、それぞれに伐採した木材の比較写真も載っていますが、こんなに違うのかと思うほど、カビや割れの差がはっきりでています。

増田氏が挙げておられた文献の1冊は、今も入手可能なので紹介します。エルヴィン・トーマ著『木とつきあう智恵』[宮下智恵子訳、地湧社、2003、独文原著は1996]です。(「現代農業」誌の記事中、邦訳題名の「智恵」の字が「知恵」になっていて、探すのに苦労しました。智恵でも知恵でも同じことですが、コンピューターの世の中、一文字でも違うと検索がうまくいかないです。)
最近、やっとトーマ氏の『木とつきあう智恵』を取り寄せて読みましたが、興味深い本です。専門外の人が読んでもおもしろいと思いますが、木造建築の関係者、その他、木を扱う仕事をしておられる方には特にお勧めです。

月のめぐりは簡単にわかります。旧暦はまさに月の暦なので、旧暦の月末が新月の直前になります。
真冬の朔月(さくづき、満月のちょうど反対)の日かその直前に伐採し、適切な自然乾燥になるよう養生すれば、建築、建具や家具、木製楽器、その他の木製品に最適の、最高の木材が得られることでしょう。

ちなみに、ラジオでたまたま聞いた話ですが、ストラディヴァリなどの楽器製作者も、木の伐採時期や養生法について熟知していたようです。また、焚き木にする木は、材として使う場合と逆で、満月の頃に伐採した方がよく燃えていいそうです。理由はよくわかりませんが、どうも、満月の頃の木は「濃い」ようです。(伊藤)

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