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お金で買えないもの、ほか

山里は猛吹雪になりました。いわゆる春の嵐です。こんな日は、いろんなことが頭に浮かんできます。

1.お金で買えないもの
エリザベス・キューブラー・ロスの『「死ぬ瞬間」と臨死体験』を読みながら、「本当の愛はお金で買えないんだよなー」と独り言みたいに言っていたら、「世の中のほとんどのものはお金で買えないわよ」と妻に言われました。「お金で買えるものなんて、この世の中のほんの一握りのものだし、それって結局、お金で売り買いする価値しかないものでしょ。お金さえあれば誰でも買えるものの価値って、しょせん、それだけよ」

2.損得
人生のいろいろな状況で、損だの得だのと言われることがありますが、そもそも、人の命をトータルで考えたとき、何が損だの得だのと簡単には言えないと思うのです。挫折したことで目を覚まし、その後につながることもあります。塞翁が馬と言いますが、何がその後に通じるかわかりません。困難にあうことで成長したり魂が磨かれたりするのであれば、困難にあわなかった人は損をしたということになります。
たとえ大金を得ても、死んであの世に持って行くことは出来ません。損だの得だのと言うなら、自分が本当にやりたいと思うことをして、人に喜んでもらい、世の中の役にも立つ、そういう仕事をなした人が、いちばん得をしたと言えるでしょう。
マザー・テレサなど、最高に「得をした」のかも知れません。

3.苦難の意味
困難といっても程度問題で、世の中には耐え難いと思える苦しみがあるのも事実です。なぜ、世の中に過酷な苦しみがあるのか、昔から問われてきました。
旧約の「ヨブ記」のような大昔の話でなくとも、たとえば原爆や空襲、旧満州からの逃避行、戦地での体験記といったものを読むと、なんでこんな苦しい目にあわないといけない人がいるのか、なんでこんな苦難がこの世に存在するのかと、考えてしまいます。
第二次世界大戦直後、19歳のキューブラー・ロスは、まだ異臭の残るナチスの強制収容所跡を訪れ、衝撃を受けたそうです。そして、それが、その後の仕事の出発点になったそうです。
たまたま部屋を片付けていたら出てきたフランクル著『夜と霧』の写真をめくりながら、私は今、苦難の意味について自問中です。(伊藤)

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