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「産後」に思ったこと

やっと妻の床上げが済みました。
「床上げ」なんて言葉、学校で習わないし、わかる人にしか通じない言葉になってしまいましたが・・・・・。

昔から産後の静養は3週間とされており、産後の無理や冷えは大敵だと言われてきました。3週間目を「床上げ」と言い、床上げが済むまでは水仕事はもちろん入浴も避けるべきだと言われてきました。
妊娠中だと見た目でわかる時期は、どちらかと言えば体調が安定していることが多く、特に養生が必要なのは見た目でわからない妊娠初期と産後なのですが、今はそうした常識が通用しない、と感じることがあります。
この山里にいる限り、近所の人たちは産後の妻を気にかけてくれており、近所のおばあさんたちは出産も育児も経験していますし、おじいさんたちもよくわかっているので安心していられるのですが・・・・・。

昔なら、どの地域でも妊産婦は身近な所にたくさんいたでしょうから、自分は独身でも、姉妹や親戚や近所の人が妊産婦というのは珍しくなくて、それなりの配慮もあったのでしょう。それが今では、特に街中では、少子化が進む一方ですし、人と人とが切り離され、常識的な配慮が期待できない世の中になってしまいました。子どもを産み育てるのが困難になり、ますます少子化が進むという悪循環です。これで、不審者を警戒して防犯を強化なんてことになると、通りがかりの子どもに声をかけることもできなくなって、ますます他者にかかわらなくなり、人のつながりが切り離されてゆくことでしょう。「道を聞かれても答えるな」とか「宅配便や小包が来ても居留守を使え」とか、子どもに教えないといけない時代になってゆくのでしょうか。

私たちが住んでいるこの山里の集落では、戦後1件も泥棒がありませんから、在宅中はもちろん留守でも鍵をかけません。雪のない季節であれば、昼間は農家の人たちが畑にいるので、知らない人が通ればわかりますし、冬は、不審者が隠れる場所などなく、歩けば雪の上に足跡が残ります。防犯にお金がかかりません。留守中に荷物が届けば、配達員さんが家の中に置いていってくれます。
何だか、1960~70年代の古き佳き日本の田舎の面影が残っているみたいです。
こういう中にいるから、子育てもしやすいのでしょう。

今年はまだ12月なのに稀な大雪となり、外は雪と氷で冷え込んでおりますが、薪ストーブで暖めた部屋で娘は元気にお乳を飲んでいます。もともと静かな山里は、音もなく雪が降り続き、外はますます静かです。土間で薪ストーブの火が、とろとろと燃えて、スープが湯気をたてています。(伊藤)

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