セミの羽化
夏も盛りになってきましたが、それでも山里の朝晩は涼しく、吹く風もさわやかで、街の人には申し訳ないみたいです。
このあたりでは、いろいろな動物や鳥や昆虫を見かけます。この時期はセミが多く、アブラゼミ、ニイニイゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシなどの声を聞きますし、姿もみます。
7月なかばを過ぎてから、わが家の畑や畑のまわりでセミの抜け殻をよく見かけるので、ぜひ、羽化の瞬間を見たいと思っていました。
セミの羽化は朝だろうと勝手に思い込んでおり、朝6時前に畑に行ってみたら、すでに脱皮を終えたセミが数匹、まだ少し白みの残った羽を広げておりました。次の日はもっと早く見てみようと思い、朝4時半に起きてすぐに畑に行ってみたのですが、やはり同じで脱皮を終えた白っぽいセミがいました。
「いったいセミは何時に羽化するんだ?」と思い、人に聞いてみたら、午後7時半頃だろうというので、そうか、羽化は夜だったのかと思い、7月22日、夜の8時前に懐中電灯を持って畑に行ってみました。そうしたら、いました。ナスの葉の裏で、ちょうど幼虫の背中が割れて、体が半分くらい出てきている羽化中のセミがいました。
すぐに家に行き、連れ合いと子どもたちを呼んできました。連れ合いは、つわりの時期も過ぎてすっかり元気になっており、子どもたちと一緒にすぐについて来ました。子どもたちには、「見るだけだよ、さわってはいけないよ」と言っておきました。
わが家の家族みんなが見守る中、セミの体がだんだん出てきました。ゆっくり出てきて、最後にお尻がすうっと抜けました。思わず「がんばれ!」と言いたくなるような光景でした。出てきたばかりのセミは、少し黄緑色がかった白色できれいです。まだ羽もちぢれていて、自分が脱いだばかりの殻にしがみついていました。風が吹いて揺れても、弱そうに見える体でしっかりとつかまっています。
長男は、「背中のチャックを開けて出てくるみたい」と言ってました。次男は、「赤ちゃんみたい」と言ってました。
あとから連れ合いに、「子どもたちにセミの羽化を見せてやれてよかったね」と話したら、「いちばん喜んでいたの、パパじゃないの?」と言われましたが、自分だってかなり喜んでいたんですよ。(伊藤)
コメント