君の名は。小話
私(一滴)の勝手な妄想です。ネタバレあります。
第1話
「君は誰なんだ? 大切な人なのに、忘れたくない人なのに、忘れちゃいけない人なのに、名前を思い出せない。あいつの名前は? そうだ、あの子、俺の手のひらに細マジックで名前を書いてくれたはず。これを見れば・・・。これは、『一』か。はじめさんていう名前か。なんか男みたいな名前だな。かっこいいな。お~い、はじめ~! おまえが世界のどこにいたって必ず探す。ストーカーじゃないよ。おまえのことが大好きだ!」
「君は誰なの? 大切な人なのに、忘れたくない人なのに、忘れちゃいけない人なのに、名前を思い出せない。そうだ、あの人、私の手のひらに名前を書いてくれたんだ。えっ、『すきだ』って。そうか、あの人すきだ君っていうんだ。すきだ君てどういう字を書くんだろう。数寄田かな、鋤田、須喜多、それとも・・・。今度会ったら漢字を聞いておこう。すきだく~ん。私、あなたが世界のどこにいたって必ず探す。ストーカーじゃないよ。あなたのこと大好きだからね!」
「はじめ~!」
「すきだく~ん!」
第2話
「やっと会えたね。さっき新宿駅からここまで来る途中、もしかしたらと思って新宿御苑に寄って探したんだ。入場料、けっこうするね。君を探せなかったけど、あずまやのところで君よりちょっと上くらいの女の人が板チョコ食べながら缶ビール飲んでて、そばで高校生くらいの男の子が靴や足の絵を描いてたんだ」
「それ、別の話じゃないの。それに、今日、晴れてるよ」
(注:新宿御苑内は飲酒禁止です。)
第3話
「みつは、さん、俺より幾つか年上なんですよね。俺、てっきり同級生だと思ってたから、生意気な口きいてすみませんでした」
「いいのよ。『三葉!』って言ってくれないと、瀧くんらしくないよ」
「そう、かな?」
「そうよ」
「で、幾つ年上?」
「三つかな」
「(じゃあ奥寺先輩と同じ年なんだ。ガーン。)三葉さん、あなたは・・・」
「ちょっとー、瀧くん。私のことは三葉って呼んで。それと、敬語は禁止」
「だって、年上の人に、言いにくいなあ。あのー、君は、彗星災害の糸守町の出身だよね」
「そうよ。瀧くん、行ったことあるの?」
「高二のときに。友だちと先輩と三人で」
「そうなの。君が高二のときだと、被災から三年目よね。被災前の糸守町は見たことがないんだね」
「それが、なんか俺、行ったことがあるような気がするんだ」
「不思議ね。私も高二のときに君に会ったような気がするんだぁ。それだと年が合わないのに。ねえ、瀧くん。カラオケ行こうか。歌ってると何か思い出すかも」
「いいね。何歌おう?」
「瀧くんは何がいい?」
「『前前前世』かな」
「じゃあ私、『なんでもないや』にしよう。上白石萌音ちゃんみたいに歌うよ」
第4話
「はじめまして。立花瀧です」
「宮水俊樹です。あなたのことは三葉から聞いています。どうぞ、楽にして」
「あの~、たしか、お父さんも神主の資格をお持ちですよね」
「ええ」
「ではご自分で口噛み酒もお作りになるんでしょうか?」
「いや、あれは代々若い女性が作るんです。私はやりません。以前は妻の二葉も作ってました。今は三葉と四葉が担当です」
「それを伺って安心しました。『これは私が作った口噛み酒だから飲みなさい』なんて言われたらどうしようかと思ってたんです」
第5話
「ちょっと瀧くん。あなたと私、また入れ替わってるよ」
「え~っ、結婚した初日からこれかよ~」
「あのね、さっき結婚式で飲んだお酒、あれ、私の口噛み酒だったかも」
第5話 その2
「瀧くん、あなた、私と入れ替わってるとき、胸触ったでしょ」
「三葉、おまえだって俺のチンチン触ったり見たりしたろう」
「触りも見もしないでどうやってオシッコすんのよ。不慣れで大変だったんだから」
「こっちだって、生理になって戸惑ったよ」
「女性の大変さがわかったでしょ」
「うん。ごめん。これからは許可なく胸を触ったりしない」
「許可するわよ。瀧くん、あなたは大好きな夫だもん♡ 大切な夫だもん♡♡」
第5話 その3
「ねぇ、瀧くん。私のどこが好き?」
「胸、かな」
「え~っ」
「嘘、嘘だよ。冗談。俺、三葉の全部が好きだ。君は俺の人生最大の宝だ。全全全部好きだ」
第6話
「三葉、もうすぐ出産だね」
「うん、女の子だったら名前は五葉にするからね」
「もし、下に妹が生まれたら?」
「名前は六葉」
「その下にも生まれたら?」
「七葉」
「その下は?」
「八葉」
「こういう名前、どこまで続くんだ!」
第7話
「いつはぁ~、起きて~、朝ごはんよ。あれ、五葉、夢見てる? ん? あなた五葉じゃないわね」
「えっ、どうしてわかる?」
「そりゃあ、私、五葉の母親だもん。私もね、今の五葉と同じ十七歳のときに、男の子と入れ替わったことがあるんだぁ。それが今の夫なの。で、中身のあなた、男の子なの?」
「は、はい」
「高校生?」
「はい」
「もしかしてあなた、五葉のこと、好き?」
「えっ、あ~、その~、そうかも」
「だったら五葉を大切にしてあげてね。胸を触ったりしちゃ駄目だからね。そんなことしたら、変態!って言われるからね」
第8話
「ねえママ、五葉お姉ちゃんが男の子と入れ替わってるみたいだけど、大丈夫かな」
「六葉、それは心配ないと思うよ。私とパパだって高校生のとき入れ替わったけど、何とかやったんだし」
「でも、入れ替わりが起きてるってことは、何か災害が起きる前かもしれないよ」
「それは違うと思う。五葉ったら『口噛み酒ってどんな味がするの?』ってずいぶん気にしてたのよ。隠れてこっそり味見したみたいよ」
第9話
「六葉、あなたも最近入れ替わりが起きてんじゃないの?」
「ごめんなさい。一回だけだよ。一回だけ。口噛み酒の味が気になって、指につけてちょっとだけなめちゃったの」
「あなたまだ小学生なんだから、お酒は駄目よ」
「ごめんなさい。もうしません」
「それで、男の子と入れ替わったの?」
「ううん、女の人だった。うちのお姉ちゃんくらいの女の人。けっこう胸が大きかったから、こうやって両手で揉んでみたの」
「もう! そんなことするの、誰の血統よ!」
「ごめん、俺の血筋だと思う」
「あれ、パパ、聞いてたの?」
(新海誠監督『君の名は。』をご覧になっていない方には意味不明の話ですみません。全部ギャグです。)
コミックス・ウェーブ・フィルム(CWF)の「二次創作に関するガイドライン」はこちら
https://www.cwfilms.jp/about/guideline.html
このガイドラインに反しない範囲で書いたつもりですけど・・・
(伊藤一滴)
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