新海誠作品
昨年末にタブレット端末を買い替えた。ドコモショップで値段を聞いたら、アマゾンプライムに入ることで割安になるという。その割引額はアマプラの年会費よりずっと大きい。天下のドコモがこういう抱き合わせのような販売をするのか。しかも他社と。
仕方ない。アマプラに入った。無料期間内に使って、あとはやめてやろう。
せっかく入ったんだから、正月に新海誠氏のアニメ映画作品を見た。
『君の名は。』以降と、それより前とで、作風がやや違う。
初期の作品はかなりシリアスだし、見終えたあとに煮え切らないモヤモヤ感が強く残る。
『君の名は。』以降は大衆路線になったのか、深刻な問題提起もあるが笑える場面も多い。特に『すずめの戸締り』は、おもしろくてかなり笑った。もちろん、これも巨大地震が突然来るかもしれない日本への警告作品と見ることもできるのだが。
新海誠作品には、次のような共通点を感じた。
絵が美しい。背景など、実に見事だ。空とか、雨とか、風景とか、実写かと思える場面も多い。カメラアングルというか、角度の決め方も見事だ。そしてストーリーの展開も動きも見事。見ていて引き込まれてゆく。これは、高く評価されるわけだ。
必ず高校生(およびその前後の若い人)が出てきて、登場人物の独白と言うか、独り言のようにしゃべり続ける場面がけっこう出てくる。この点は評価が分かれるかもしれない。なんか、文学作品の朗読を聞いているような感じになる。『言の葉の庭』が特にそうだった。
そして、結末はどうなったのかはっきりしなくて、いつも作品鑑賞者の側の想像に委ねられる。『君の名は。』よりも前の作品は、特に、見終えたあとすっきりしない。そんな終わり方って、あり? 『秒速5センチメートル』の場合、悪い人が出てくるわけでもなく、登場人物はみな善良なのに、なんで? 見終えたあと、私はしばらくモヤモヤしていた。これは独白場面の多さ以上に評価が分かれるだろう。
「主人公もまわりの人たちも、いろいろあっても基本はいい人たちなんだから、幸せになってほしいと思う」って言ったら、
「そんな、水戸黄門じゃあるまいし」
って、妻は言う。
高校生の娘からは、
「好きな人と結ばれたらそれでずーと幸せって言える?」
と言われてしまった。
(伊藤一滴)
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