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自民党の進化論曲解、その虚構

嘘の話にいつまでも付き合っても仕方ないと思うのですが、嘘の主張で憲法改正に話を持って行くのはあんまりひどいし、嘘を本気にする人がいてもいけないので、もう少し書きます。

解釈によってはこうも解釈できるといった解釈の違いではありません。誤った「引用」であり、明白な嘘です。
進化論に関して平気で嘘をつき、専門家から指摘されても改めない自民党って、一体どういう神経、どういう体質なんでしょう。

こんなのを見ても仕方ないんですが、見ないで非難もできないんで・・・・。
これが自民党公式SNSのマンガです。

https://www.jimin.jp/kenpou/manga/first/

フェイクです。ひどいものです。うちの中学生の子も言ってましたけど、「唯一生き残ることができるのは変化できる者である」(しかもこれ自体誤った「引用」)というのと憲法改正の話もつながりませんしね。


ダーウィンの進化論では「最も強い者が生き延びるのではなく、最も賢い者が生き延びるのではない。唯一生き残ることができるのは変化できる者である」といわれているというのですが、ダーウィンはそんなこと言っていません。言っていないことを言ったとする自民党の嘘です。最初は間違って書いたのかもしれませんが、指摘されても訂正も削除もしないとなると、これはミスというより、開き直って嘘をつき続けていると言えます。

進化論では、もともと同じ生物にも多様性があって、あるものが環境に適合して生き残ったと考えられています。環境に合わせて自ら変化したのではありません。自民党は進化論を曲解しています。

それに、進化論を含む生物学は生物の変化を善としているわけではありません。進化が良いことか否か、生物学は判断をしていないのです。このマンガは、変化(進化)することは善だという自民党の先入観の現れでしょう。自分たちの先入観の正当化のために科学を捻じ曲げています。

言うまでもないことですが、そもそも、純粋に生物学の理論である進化論を社会の現象や政治に当てはめて論じるべきではありません。
ダーウィンはそんなことを言っていないのに、かつて、進化論では優秀な者が生き残るとされ、優生思想や民族差別と結び付けられた不幸な歴史があります。自民党は、憲法改正という、進化論とはまるで結びつかないことを強引に結びつけており、しかもその「引用」も誤りです。過去の不幸な歴史から何も学んでいないと言えます。

あなた方自民党には歴史修正主義者がいるようですが、あなた方は科学も修正するんですか?


別に私は小沢一郎氏の支持者ではありませんが、小沢氏のツイッターでのコメントが当たっているんで引用します。
「ダーウィンの進化論と日本国憲法に一体何の関係があるのだろう。無知蒙昧もここまで来ると笑ってしまうレベルで意味不明」「総理が進める反知性主義のおかげで、今の自民党は心配になるほどおかしくなっている。正気の沙汰とは思われない」(2020年6月21日)
「もはや知性の問題。『ダーウィンも喜んでいる』訳がない。ダーウィンは呆れ果てているだろう。国の恥を世界に日々晒している。明らかに国益を害する」(2020年6月24日)


追記
今見たんですが、第2話もひどい。「聖徳太子の十七条の憲法」と「日本国憲法」は、どちらも憲法という語が使われていますがまるで性質の違うものです。それを同じように論じるなんて・・・・。

素人の私でも知っていますが、近代国家の憲法は、簡単に言えば国家の統治体制の定めであり、政府と国民との関係を定めた法律です。国法の頂点に立つものです。日本国憲法の場合、戦争の反省もあって、国家権力から国民を守る盾としての性格も強いのです。(国民の側が、どうして、自分たちを守る盾を変えたり捨てたりしないといけないのでしょう。)
それに対して十七条の憲法というのは、家臣や役人が守るべき道徳的な規範を示したものであり、近代国家の憲法とはまったく異質です。
それをごちゃ混ぜにして論じるなんて・・・・。

誰か、自民党の中で、これはおかしいって指摘する人はいないんですか?
誰も止められないんですか?
科学も歴史もめちゃくちゃです。
自民党には弁護士資格を持つ人だっているでしょう。
こんなむちゃな「説明」を放っておいていいんですか?

(伊藤一滴)

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