スタディサプリは破壊者?
息子を見ていても、スタディサプリ(インターネット予備校)による学力向上はすごいです。私は、息子と一緒に英語の授業を少し見ただけですが、関先生にしても肘井先生にしても、とてもわかりやすく、引き込まれてゆく授業です。英文法の授業なんていうと、つまらないのを我慢して聞くイメージがありますが、スタディサプリには、私も引き込まれました。こりゃあ、学力、ぐんぐん伸びるよな~と思いました。自分の高校時代や浪人時代を思うと、うらやましくもなります。
考えようによっては、スタディサプリは従来の教育産業の破壊者であり、もしかすると、公教育をも破壊していくのかもしれません。
アマゾンが送料無料で書籍のネット販売を展開して書店に大きな打撃を与えたように、インターネット予備校は従来の予備校や塾その他の教育産業にとって大きな脅威となってゆくことでしょう。
でも、そのアマゾンなどのおかげで、私のような地方の山里に住む者も、すぐに本が買えるようになりました。山形県の田舎町育ちの私が高校生だった頃、もちろんインターネットなんてなくて、「世界」とか「朝日ジャーナル」とか買いたくても、売っている店がありませんでした。どうしてもほしい号は、山形市まで行って買いました。片道1時間半以上かかりました。10代の私は、住んでいる場所による「文化格差」を思い知りました。
インターネットの情報とインターネットを使った通販は、文化格差を小さくしました。そしてまた、スタディサプリに代表される廉価のインターネット予備校の広がりは、教育格差も小さくしつつあります。
親の年収や住んでいる地域により、高い教育を受けたくても難しい人たちがいました。我が家もそうですが、近くに予備校なんてありません。どうしても予備校に行くなら、仙台に出るか東京に出るかです。
35年前、私がいた仙台の文理予備校(現・河合塾仙台校)には、東北六県から生徒が集まっていました。生徒の親たちがお金を出してくれたのです。中には、かなり無理をして、お金を捻出した親もいたことでしょう。
今、自宅で、非常に分かりやすい授業を受けられるようになりました。県外の予備校に子どもを送り出せば、予備校の学費の他に家賃も食費もかかります。帰省すれば交通費もかかります。予備校は大学よりお金がかかると言っていた人もいました。私の先輩にもいましたが、当時は、山形県民が、山形大学への進学をめざして仙台(宮城県)の予備校に行ったのです。当時、山形県内には、山形大学進学対策をしっかりやってくれる予備校がありませんでした。それを思うと、全国どこに住んでいても、恐ろしいくらい安く、質の高い授業を受けられる時代になりました。
ネットで質の高い授業を受けられるなら、なんでわざわざ学校に行って授業を受ける必要があるのか、ということになります。今、学校の現役の教師たちが、スタディサプリを見て授業の参考にしているという話がありますが、本当です。正直な先生から、本当にそうしていると聞きました。
インターネットで授業が受けられる時代の公教育の必要性とは何か、という話にもなるでしょう。友だちとの交流や、インターネットではできない実技を伴う授業や課外活動のために学校が必要で、基本はインターネットでの授業になるのかもしれません。学校の教師は、体育、音楽、美術などの他は、インターネット授業の補足説明や質問への対応、国語表現、和文英訳、英文和訳などの添削指導が主な業務という時代に向かうのかもしれません。(やがてAIが発達すれば、国語や英語の表現も、AIがやってくれるかもしれませんが。)
スタディサプリは先駆者であり、また、スタディサプリは、これまでの教育産業の破壊者であり、もしかすると、公教育にとっても破壊者かもしれないと思うのです。
(一滴)
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