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米価下落の中で 2014

嘆いていても仕方がないのですが、それにしても米が安いです。

今年、山形県の「はえぬき」の栽培だと、水田一反(300坪)あたり8千円~1万5千円程度の赤字だそうです。稲作農家は、広く米を作るほど赤字を背負います。「米が安くて消費者は助かるからいい」というのは目先の話であって、めぐりめぐって行きづまることでしょう。 

人間の基本的な営みは衣食住だと思いますが、今の日本は、衣食住の生産では採算が取れなくなってきました。衣類の多くは外国製、食料自給率は4割以下で自給可能な米は作っても赤字、そして建築の仕事も、手間がかかる割にはひどく薄利で、身につけた建築技術や知識の大安売りのような感じです。

人間の基本の営みをおろそかにして、多くの人が、何のために必要なのか解らないような仕事で食べていて、それでいいのかと思います。

以前、新聞に「日本のコメは高すぎる」と書いてあるのを読んだことがあります。玄米30キロの小売価格を8千円とすれば、60キロで1万6千円。60キロが、日本の平均的な1人あたりの米の年間消費量です。これを365日で割れば1日約44円。精米代などを考えても1日あたり50~60円程度(1食あたりではなく1日あたりです)。1日に約50~60円の米代を高いと言うのでしょうか。パンや、ジュースや、酒、タバコなどの値段を考えれば、恐ろしく安いのです。

新聞記者が、「高すぎる」と書く感覚はいったいどうなっているのでしょう。もう、人間の基本的な営みはガタガタだと思いました。

短期的な営利の追求が、世の中をゆがめ、人間の精神にまで毒がまわってきたように思えます。

でも、私は稲作を続けます。採算はともかく、食料生産は人間の基本的な生きる営みですから。それに、基本的な衣食住の生産では食べていけないなどどいう世の中がいつまでも続くとは思えませんから。

(伊藤一滴)

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