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驚きのふんどし

 重いテーマの話が続いたので、別の話も書きます。ふんどし(褌)のことです。

昨年の7月、山形県の村山地方は雨続きで、雨が降らない日はたった数日だけ、あとはずっと雨でした。雨続きで湿度が高く、しかも気温が上がってきて、山里にいても、昼間は体が蒸れるようでした。さすがに朝晩の涼しさには救われる思いでしたが、昼間の発汗は多く、あせもやただれが出てきました。

とくに困ったのは股のただれです。股が汗でくっついて、ひりひり痛いのです。

今年もまた高温多湿の季節になり、去年みたいな目にあうのはいやだなあと思っていたところ、たまたま、ふんどしがよいと聞きました。あまりにも古くさいと思ったのですが、好評なようなので試してみました。驚きでした。「これほど優れた下着を他に知らない」というのが使ってみての感想です。通気性はトランクス以上で、しかもスポーツ用の下着のように動きやすいのです。皮膚がくっつかないので素っ裸より快適です。ゴムの締め付けもありません。

単にふんどしと言えば「越中ふんどし」のことです。約1メートルの長さの晒(さらし)などの木綿の布にヒモをつけただけのもので、脱着が楽でトイレも楽です。日本手ぬぐいでも作ることが出来ます。手ぬぐいを使うと短めになりますが、前垂れの部分が少し短いだけで問題なく使用できます。越中ふんどしは基本的には男女兼用で、フリーサイズです。女性用として売られているのは、布の柄や質感が女性向きなのでしょう。晒や無地の木綿の布であれば性別に関わらず使えそうです。自分で作ると安いです。ふんどしを一つ作るのにかかる布代はせいぜい200円弱から数百円くらいです。既製品を買うと500円程度から、ものによっては何千円もするので、出来たものを買うのは高くつきます。最初に1つだけ既製品を買い、あとは真似して作るという方法もあります。

越中ふんどしよりさらにスポーティーな「六尺ふんどし」もあります。見た感じはタスキや応援団の長ハチマキのようで、洗濯して干していても誰も下着だとは思わないような、ただの長い布です。脱着はやや手間取りますが、ぴったりフィットし、しかも蒸れません。昔は男子の水泳用にも使ったそうです。あとはお祭りなどで使われるようです。六尺ふんどしは男性専用だと思っていたのですが、ネットで見たら女性が使うこともあるようです。ヒモすらついていないただの布なので、布を買って(あるいは古布を利用して)自分で作ったほうが断然安いです。(注:六尺というのは和裁の六尺(約2.2m)です。建築などで言う六尺(約1.8m)の布を買って作ろうとすると短くなってしまいます。)

他に「もっこふんどし」もあります。もっこふんどしは後ろと前の両方にヒモを通すタイプのもので、前垂れの部分がありません。これも男女兼用ですが、越中ふんどしのように前垂れを引っ張っての調整はできないので、その人の体格によりサイズがあります。少し小さめでも問題ないとネットに書いていた人がいましたが、小さい下着は使用感がよくないです。好みの問題かもしれませんが・・・・。越中ふんどしを着用し、調整して自分のベストサイズを出し、その長さのもっこふんどしを作ればよいのです。これも手ぬぐいで簡単に作れます。「ふんどし 作り方」で検索するといろいろ出てきます。もっこふんどしは、越中ふんどしよりパンツに近い形です。ただし、市販のパンツより通気性がいいですし、ゴムの締め付けがないので快適です。

今、私は、普段は越中ふんどしを使い、農作業などで特に動くときはもっこふんどしや六尺ふんどしを使うこともあります。素材は木綿で、どれも自分で作りました。

ふんどしを使い出してから、股のただれから解放され、実に爽快です。やはりこれは日本の気候風土に適した下着だと思います。

和室が減って洋室が増えたのもそうですが、伝統的なものを減らして欧米から来た使い勝手の悪いものを増やすことが日本の「近代化」あったように思えます。

ふんどしは、たぶん、人生を変える!

(画像はありません。自分の下着をネットで公開するのも変ですから。)

(伊藤一滴)

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