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大雪です

大雪です。しかも、寒いです。
お正月が過ぎてから連続で雪が降り、1.5メートル以上積もりました。私の顔くらいまであります。
自宅の2階は棟の上に「雪切り」をつけてあるので自動落下ですが、降った雪と落ちてきた雪で1階は完全に雪に埋まり、昼でも暗い地下室状態です。それは毎年のことなので驚きませんが、今年は特に雪が多く、2階まで埋まりそうになっており、スコップで雪を投げて2階の窓を守っています。まわりが全て雪で、もう雪を降ろす場所がないので、雪降ろしというより雪掘り、雪投げです。
1階の出入口の所を掘って、雪の階段を作り、本当に地下室みたいに出入りしています。
これ以上降ったら、あとは2階の窓から出入りするしかないだろうと、覚悟を決めています。
なんだかもう、笑うしかないような状態です。

自宅の車庫前も雪の山で、これをどかして車を出すのがひと苦労。やっとジープを出してふもとに下りて買い物を済ませ、帰ってきたらジープのフェンダーにつららが何本も下がっていました。
最高気温が氷点下。車庫から自宅に歩いただけで、帽子に小さなつららが出来ていました。

5年に1回くらいたいへんな大雪があるようです。覚悟の上の山里暮しですが、連日で、ちょっと疲れてきました。

でも、私は、山里の集落の人たちの相互扶助的な助け合いの精神の根底にあるのは、この気候の厳しさではないか、と思うのです。もちろん気候だけが人間の精神を形成するのではないでしょうが、気候は、精神風土をかたち作る大きな要因の一つに思えます。
厳しいから、助け合うのです。
自分も大変だから、大変な目にあっている他者のことを思うのです。
単に損得を勘定したって、助け合ったほうが自分も得ではないかと思いますが、そういう利害打算を考えているふうでもなく、山里の人たちは自然と助け合います。
人と人とのバリアがなくて、みんなけっこう本音で話します。
プライバシーがそれほど問題にならないのは、そもそもプライバシーを悪用する人がいないからでしょう。悪用される危険が大きいほど、プライバシーが重視され、近所に誰が住んでいるのかも分からないといった弊害が出てくるのではないかと思います。

回覧板を持っていけばお茶をすすめられ、手作りのこんにゃくや漬物をいただいてくる暮し(こんにゃくいもや漬物用の野菜も手作りだそうです)、子育てや、田畑のことなど、いろいろな面で、近所の人たちが教えてくれる暮し、昔の日本に帰ったみたいで、いいなあと思います。
これが、地域の精神風土というものなのでしょう。市街地の、特に新興住宅地で住みにくさを感じたのは、こうした伝統的な精神風土を感じられなかったというのもあります。スーパーも駅も近いから暮らしやすい、というのではないですね。

何か良い面があれば、他の面で困難もあります。全面的にいい暮しなんて、どこにもないと思います。人と人とが切り離され、やれ「孤族」だの、子育ては「孤育て」だのと言われる中でストレスをかかえて生きている人たちは、さぞ大変だろうと思います。東北の山里暮らしは万人向きではないでしょうが、私の場合、気候の厳しさなんてめじゃないと思うのです。

それにこの雪は、今年の豊かな水を保障してくれるわけで、私が住む山里では飲料水も農業用水も不足したことがありません。しかも、飲み水は抜群においしいです。

雪の始末を終えてから、土間で刃物の手入れをしました。春になれば、畑や山で使いますから。ついでに大工道具や台所の包丁もよく研いで、油を塗っておきました。

子どもたち、外が吹雪で雪遊びもできないので、まきストーブのそばで将棋をさしたりしながら遊んでいます。

それから私は自分で収穫したそばの実を挽いて、そばを打ってみました。家族に好評でした。
山里は大雪に閉ざされ、厳寒の時期ですが、冬には冬の楽しみもあります。
(伊藤)

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