なにも就農まで?
きのう、やっと晴れた中、タネモミを蒔きました。
苗箱に培土(ばいど)を入れ、種を蒔いて被土(ひど)をかぶせ、有孔ポリをかぶせ、弓なりの支柱を立てて透明ポリシートでトンネルを作る作業です。ビニールハウスの模型みたいな、かわいいカマボコ型のトンネルができます。その中で育苗です。
種を蒔いたら待ったなしで、その日のうちに全部しないといけないので、覚悟のいる作業です。「シートをかぶせる作業は一人では無理だよ。奥さんに手伝ってもらうといいよ」と熟練の農家の人たちも言います。これは本当に妻に手伝ってもらいました。そしたら4歳の娘もやって来てシートの端を持っていてくれました。娘のお手伝いもけっこう役に立ちます。棒を振り回して遊んでいる小学生の息子たちよりは役に立ちます。
きのうは天気にも恵まれ幸いでした。
今年の春は、例年より寒く、ぐずついた日が多いです。はやく天候が回復してくれるといいのですが・・・・。
なにも就農までしなくたって「半農半X」とか「農的生活」とか、提唱する人たちがいるし、それはそれでもっともで、私も、多くの人が半農になれるなら理想的だと思います。でも、いろいろな本を見ても、具体的にどうやって農地を得て半農生活・農的生活をするのか、どれにもはっきり書かれていません。
農地法上、農家でなければ農地は買えないし、農地を借りることさえ出来ないのです。
農家に生まれた人でなければ、新規就農して農家になる以外ありません。農家でないのに農地を所有している人もいますが、それは相続などの例外です。
あとは、親戚や知り合いの農家にお願いし、農地の一部を使わせてもらうという方法がありますが、法的には「農業の手伝いをしている」とでもするしかありません。「家庭菜園を借りている」とは言えません。農家でないのに農地を借りたら違法になりますから。
正規に農地を買ったり借りたりするため、思い切って農家になろうとすると、正社員・正職員の人は認められないと言われるのです。逆はいいのに・・・・。つまり農家である人が、会社や団体の了解のもとに正規の従業員になって兼業することは出来るのに・・・・。
半農になるために正社員等の身分を捨てるというのは、かなり勇気のいることです。
もったいないですね。体力も気力もある若い時期に農業を始めるにはハードルが高く、定年退職して少し衰えてからでないと始められないなんて。
「半農半X」や「農的生活」は、よほど条件に恵まれた人でないとできません。
「たまたま条件に恵まれた一部の人だけのぜいたくな道楽」と言われることもあります。
敗戦後、農地解放が行なわれ、不在地主が再び復活せぬよう、農地取得のハードルを高くしたのです。自分で耕作しない人が農地を買い占めて小作人たちを搾取したりできないように。それが今、農業をやりたい人たちの足かせになっています。
それでも、農山村ブームと言われるくらい、農山村に向かってくる人たちがいるんです。
それも、大手企業の社員や公務員をやめてきたという若者がいたり、大学院修了者や海外留学経験者がいたり。
今は、また時代が変わってゆく時なのでしょう。(伊藤)
コメント