脱穀準備
前回の「自分で稲刈り」の話、読み返したら変な表現もあったので書き直しました。
それと、前に書いた「農業・農山村ブームの再来 近代へのニヒリズム」(2009年8月18日)ですが、これ、私の思っていることを、かなり力をこめて書きました。それでも気になる箇所があったので、今さらですが書き直し、最終決定稿にしました。よろしければご覧ください。
さて、今日の本題です。
最近は稲の天日干しは少数派で、平地の大規模な水田ではほとんど見なくなりました。でも、私の住む山里には、斜面の小規模な田んぼが多く、まだあちこちに稲杭が並んでいます。
稲杭の並ぶ中、赤とんぼが舞う光景を見ていると、子どもの頃が懐かしいです。
そろそろ、私も脱穀したいのですが、天気に恵まれません。
稲は田んぼに干してあって、雨ざらしですが、意外と濡れないです。カヤぶきの屋根なんかもそうですが、表面に雨水がかかっても中にはあまり滲みていかないようです。
でも、雨では脱穀ができません。
田植え機や稲刈り機の中古品でお世話になった農機具屋のKさんから、中古の脱穀機も探してきてもらいました。ハーベスターと呼ばれるキャタピラーのついたエンジン式の脱穀機で、稲杭の所まで自走させることができます。中古品とはいえちょっと値が張りましたが、これがないと大変なので仕方ないです。
『週末の手植え稲つくり』にもハーベスターの威力の話が出てきます。
私は田んぼ(水稲)を始める前から畑で陸稲の栽培をしてきました。こき箸、千歯ごき、足踏み式脱穀機なども試したんですよ。若い時から農具史にも感心があって、いらない人からもらったり骨董市で見かけたときに買ったりして、昔の脱穀の道具を集めました。こき箸は実物が手に入らないんで江戸時代の農書の絵を参考にして自作しました。妻は、あきれています。
稲こきの歴史的変遷を自分でやってみたんです。元禄時代に発明された千歯ごき(私が持っているのは明治初期のもの)、大正時代に普及した足踏み式脱穀機と、歴史的にはかなり効率化されていったとはいえ、エンジンやモーターを使わない道具は大変です。はっきり言って大変です。
産業文明を批判しながら、私の言っていることは矛盾してしまうのですが、今年はハーベスターの威力を試してみます。
本当は、家族総出で手作業で農業をして、それで見合うなら、なるべくエンジンやモーター式の機械など使わないほうがいいのです。
理想はわかっていても、今は、ほとんど私が一人で農作業をして、家族はたまに助手をしてくれる程度。まわりの農家も高齢者ばかり。仕方ないです。
産業文明のたそがれという過渡期にあって、矛盾を承知で、現代文明の利器(ただし少し旧式)もそろえています。(伊藤)
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