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あなたは代わってくださったのだ

インターネットの普及には良し悪し両面ありますが、今やネットは世界に広がり、日本の新聞や雑誌が載せない写真も見ることのできる時代になりました。
以前、海外のあるホームページで、戦争で殺された子どもの写真を見ました。うちの子どもたちより小さい子どもでした。残酷でした。
一瞬ぎょっとして、次の瞬間、私の頭に、若き前田美恵子(後の神谷美恵子)の言葉が浮かんできました。

「何故私たちでなくてあなたが?
あなたは代わってくださったのだ」

この言葉、前にも引用しましたが、20代だった前田美恵子がハンセン病患者施設を訪れた後、そのときのことを思って作った「癩者に」という詩の中に出てきます。戦時下の1943年の作品で、「癩(らい)」は当時の表現です。
ハンセン病は今では薬で完治する病気ですが、かつては不治の病のように思われていました。
病気と武力攻撃による犠牲は違いますが、なぜ私たちでなくあなたがそういう目に遭わなければならなかったのか、という問いは共通です。
自分は病気にならなかった、その時代のその国に生まれなかった。それは自分の努力でも何でもなくて、たまたまです。ひどい目に遭った人も、何かその人に落ち度があったわけではなく、たまたまです。もし、何かちょっと事情が違っていたら、自分がうんとひどい目に遭っていたかもしれません。

遺体の写真に手を合わせながら、
「何故私たちでなくてあなたが?」
と、私は問いました。

前田美恵子ならきっと同じように答えたでしょう。
「あなたは代わってくださったのだ」
と。(伊藤)

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