突然のニワトリ
2週間ほど前、生きた鶏(にわとり)をもらいました。雌鶏(めんどり)です。4羽います。
仕事でお客さんの所に行ったら、庭の工事すると鶏小屋の場所がなくなるので処分したいというのです。
「卵を産むから、もったいないんだけどねえー。仕方ないねー」とおっしゃるので、譲ってもらえないか聞いてみたら、「欲しい? じゃあ、ただであげますよ」とのこと。それで、鶏小屋ごともらい、工事関係者のトラックで、ひとまず、うちの事務所の敷地内に運んでもらいました。
いつかは鶏を飼う暮らしをしたいと、以前から思っていたのは事実です。そしたら、何の準備もないまま、突然鶏が4羽やって来ました。小屋ごと。
山里のわが家は、まだ深い雪の中です。毎年のことですが、1階が埋まるくらいの雪です。とても、鶏小屋の設置どころではありません。
お客さん側の工事の日程もあり、数日内に現場から鶏小屋を撤去しなければならず、待ったなしでした。仕方がないので、うちの事務所の入口のまん前に仮設置しました。事務所も農村地帯にあり、近くに家畜小屋もあるくらいですから、近所から苦情がくることもないでしょう。
子どもたちは大喜びですが、妻がびっくりしました。最近は私のやることなど、いちいち驚かなくなった妻ですが、ある日突然、生きた鶏4羽が鶏小屋ごと事務所の前にやって来たのには、さすがに驚いたようです。
「えぇー?どうすんの、これー、飼うのぉー?」
「卵を産んでくれるって」
「だってぇ。どうやって飼うの? エサどうすんの?」
「だから、それは、なんとかするよ」
実は、妻は鳥類全般が苦手です。ヘビが苦手という女性はよくいますが、鳥が苦手という人もいるのです。
なんとか妻を説得し、農業資材店に鶏のエサを買いに行きました。セメント袋くらいの紙袋に入って2千7百円というのは、高いんだか、安いんだか。あとは、モミガラ、米ぬか、キャベツの外葉などあげてます。
知り合いの大工さんが来ました。
「よう、伊藤先生。ニワトリ飼うの? ニワトリは環境が変わると卵産まなくなるよ。まあ、気長に待たないとね」
その通りでした。再び卵を産み始めたのは、運んでから1週間程してからでした。それからは毎日4羽で2~3個づつ産みます。平均すると1日1羽あたり1個以下ですが、それでも、やっと安心して卵が食べられるようになりました。カラはしっかりしているし、中身に弾力があるし、コクがあっておいしい卵です。目玉焼きにしたら黄身はもちろん白身の端っこまでおいしくて、やっぱりモノが違います。
私の父がひじょうに興味を持ちまして、エサや水をやってくれたり、スーパーからキャベツの外葉をもらってきてくれたり、とても協力してくれて、ありがたいです。
寒い時期に突然鶏が来たんで今のところ仕方ないですが、いつまでも市販のエサや市販野菜のクズというわけにもいかないでしょうから、いずれは自家の米のクズをやったり、菜園の野菜クズを乾燥保存して冬に使ったり、工夫しようと思います。
それにしても、鶏が来てから、雪どけが待ち遠しいです。早く春が来ないかなー、来ないかなーって思ってます。春が来たら、早く山里の家のそばに、この鶏小屋を運びたいです。
そうやって、一歩また一歩、昔の暮らしへ近づきたいです。(伊藤)
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