今の時代
参議院選挙も終わりました。
選挙期間中、地方も、にぎやかでした。
結果は、あらかじめ予想された通りで、当地(山形県村山地方)のある自民党関係者さえ「今回、自民党はダメだろう」と言っていましたが、その通りになりました。
私は、与野党双方の支援者と仕事上のつきあいもあるので、人前では中立を保ってきました。あたりさわりのない話をしながら、それでも何となく感じていたのですが、保守基盤の強い農村の人たちも、自公政権の「改革」路線による格差の拡大、年金問題や相次ぐ不祥事の数々に反旗を翻したようです。
特に格差の問題は大きいと思います。格差社会と言われますが、本人の落ち度でないことで、大きく格差の開く時代になりました。生まれたのが数年早いか遅いかなんて、本人に何の責任もありませんが、その数年の差で正規に採用されるか希望する職種の正社員の道がほぼ絶望的に閉ざされるか分かれてしまいました。生まれる地域も自分では選べませんが、地域間格差も大きくなって、たまたまどこに生まれたかがその後に大きく影響してしまいます。こうした不満がつのってきたことも投票に反映したのでしょう。
私は、競争社会はもう過ぎ去ったと思っています。低所得者の家に生まれたり過疎地に生まれたり、たまたま就職活動期と不況が重なったりすると、本人の努力で超えられないほど「競争」に参加するハードルが高く、公正な競争は期待できないのです。たとえて言えば、百メートル競走のときにある人たちは2百メートル後ろから鉛の靴をはいてスタートしないといけないような状況です。
多くのことが「生まれ」と「運」で決まっていく、そんな時代はもう競争社会ではありません。
私は、「競争」がひじょうに不平等でしかも終わりもなく、たとえ競争に勝ってもそれは人の幸せとは別であることも見えてきて、走り疲れ、馬鹿馬鹿しくなり、今、こうして山里暮らしです。
ある建築業者の社長と雑談していたら、その社長がこんなことを言いました。
「真面目に働いても、お金にならない時代ですね。こんな時代にもうけている人たちは、人を食い物にしてもうけているんでしょう。人から吸い上げる既得権を利用したり、言葉巧みにお客を食い物にしたり、従業員を食い物にしたりしてね。私は人を食い物にしてまでもうけようと思わないから、もうかりませんよ。ははは」
同感です。(伊藤)
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