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風邪の効用

ふもとでは桜が満開です。最上川の岸辺の桜並木が水面に映えて、なんとも、いい眺めです。
雪も、とけ始めるとどんどん消えていき、とけた所から若草が生えています。
山里の桜はまだですが、梅が満開できれいです。

こんないい陽気なのに、風邪をひいてしまいました。
冬の疲れも出てきていましたが、通常の仕事をこなしながら、山里の家のまわりの片付けや以前住んでいた家の解体準備で休む間もなく、ちょっと無理をしてしまったようです。

それで思い出したのが野口晴哉氏の『風邪の効用』[ちくま文庫]です。
その本、持ってるんですが、引越しのときに梱包したダンボール箱のどこかの中で、すぐ取り出せないので記憶で書きます。それに、私は医学的なことは素人なので、これは素人なりに受け取った内容であることを、まずおことわりしておきます。

私たちは、風邪は悪いものだ、迷惑な病気だと考えがちです。可能なら、風邪の原因となるウイルスなどを殺す薬が欲しい、そうした病原体をこの世から根絶してやりたいと思うかもしれません。

でも、野口氏によると「風邪は自然の健康法」で、「治すべきものではなく経過するもの」なのだそうです。風邪のせいで体調を崩すのではなく、体のバランスが崩れているから風邪をひき、風邪が治れば、風邪をひく前より体調が良くなっている。風邪の経過によって、体が回復する。だから、自然な経過を乱さなければ、風邪のあとは、あたかも「蛇が脱皮するように新鮮な体になる」のだそうです。
たしかに、思い当たることがあります。風邪が治った後はとてもすっきりした感じになり、風邪をひく前より気分がいいということがよくありました。
病気は、闘って克服すべき対象のように思われがちですが、本当にすべての病気がそうなのか考えてみる必要がありそうです。

もちろん私は、医療を否定するわけではありませんが、ふつうの風邪ならば、休んで寝ているのが最良で、化学合成の薬で症状を抑えて無理に仕事をするなんていうのは最悪でしょう。ちゃんと休んで風邪を経過させれば、体はすっきりし、風邪をひく前より良くなるというのですから、これも天から与えられた恵みと言えます。もっとも、それを許してくれないのが現代の産業文明社会なのですが・・・・・。

ある種の動植物に共生関係がみられますが、もしかすると、人間と風邪のウイルスも「共生」しているのかもしれません。
植物と昆虫を観察しても、野原や自然農法の畑では虫害はほとんどないのに、その土地にふさわしくない植物や、栄養過剰(肥料のやりすぎ)の植物であれば、たちまち昆虫が除去してくれるのがわかります。天の理に従って働く虫たちを「害虫」と称し、根絶しようとするのが人間です。自然な経過を乱さなければ、自然はひとりでに、あるべき方向に、バランスを回復させてくれるのに・・・・・。

歌にも「 LET IT BE 」というのがありますが、そうあるべきままに、天に従い、じねんと、ものごとを経過させてゆく、これが一番いいように思います。(伊藤)

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