状況はナチス政権と似てきた
ヒトラーは民主的なワイマール憲法下で選挙によって選ばれました。
ドイツ国民の強いヒトラー支持の声に、理性の声はかき消され、
そして、その結果は・・・・。
今の日本の状況は、ナチス政権と似てきたと思うのですが、私がそう思うだけでなく、各種の指摘にもそうあります。
たとえば、
「米山隆一氏 日本はヒトラー時代のドイツになりつつある…「本気で危惧すべき」」
https://www.daily.co.jp/gossip/2020/10/24/0013808972.shtml
大平誠「「まるで戦前戦中だ」 気に入らぬ者は飛ばして異論封じる…官僚も辟易する菅首相の強権ぶり」
https://dot.asahi.com/aera/2020102600007.html?page=1
「平野啓一郎氏 菅首相は独裁国家の権力者気取り…平然と違法行為をして開き直る」
https://www.daily.co.jp/gossip/2020/10/24/0013809483.shtml
米山隆一氏の引用からの孫引きですが、
「ナチスのヒトラーでさえも全権を掌握するには特別の法律を必要としましたが、菅総理大臣は現行憲法を読み替えて自分がヒトラーのような独裁者になろうとしているのか」(松宮孝明立命館大学大学院教授)
スガさんにはヒトラーのような魅力はない、カリスマ性がないという指摘もありますが、どうでしょう。
国会で議論もせずに勝手に法解釈を変更し、法律を骨抜きにする。(しかも過去の答弁と整合しない)
人事を掌握して官庁をコントロールし異論を封じる。
学者にまで圧力をかけて学術研究も支配下に置こうとする。(※)
そうやって、国家全体をコントロールしようとする。
スガ氏はとんでもないことをやってます。
国民が駄目だと強く言わなければ、この先どこまで進んで行くんだか。
過去に、そうやって国家をコントロール下に置こうとした人たちの末路も、歴史に刻まれています。
疑心暗鬼になった者たちのこと、失脚した者たちのこと、死後も非難され続ける者たちのことを、スガさんは知らないんでしょうか。
スガさん、あなたは、自分もその列に加わる気ですか。死後も非難され続けたい?
今の日本の状況は、ナチス政権と似てきたと思いながら、私の頭に浮かんだのは、
加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』です。
日本の軍部は、嫌がる国民を無理やり戦争に引っ張ったのではないのです。国民が軍部を支持し、国民が、戦争への道を選んだのです。
また選ぶんですか。
戦前の日本では、学術的な研究が反国家的として排除されました。
たとえば、美濃部達吉、滝川幸辰、大内兵衛、津田左右吉、矢内原忠雄・・・・といった、当時の日本を代表するような先生方が追放されました。
追放された学者らは戦後に名誉を回復し、指導者となったり、門下生らが大活躍したりしています。
追放した側はどうなったのか。
失脚です。
ほんとうに、スガさん、あなたも追放した側の列に加わりたいのですか。
あなたはもう疑心暗鬼になっておいでのようだが、いずれは失脚し、死後も非難され続け、やがては歴史の教科書にも不名誉な名を残すことになるかもしれませんよ。
(伊藤一滴)
(※)首相は学術会議任命拒否の理由を言いません。言えないのです。
「共謀罪、安保法、辺野古埋め立てなどに反対したから任命しません」と、言えないのです。
総合的・俯瞰的だの多様性が大事だのとあとから作った「理由」を並べても、理由になっていません。総合的でもないし俯瞰的でもないし、だいたい、専門の研究者を総合的・俯瞰的に判断する能力がスガ氏や氏の取り巻きたちにあるとは思えません。
多様性が大事だと言うならなぜ人文系を狙って排除するんですか。任命を拒否された研究者には女性もおられるし(『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』の加藤陽子氏です)、その大学から選ばれるのは稀という方もおられます。かえって多様性に反するようなことをして、よく言うよ。本当に多様性が大事なら、政府の方針に異議を唱える人こそ大事にすべきでしょう。こんな矛盾に黙っていたら、日本はどこに向かって進んで行くんだか。
追記:首相がやっと所信表明演説をやったと思ったら、何箇所も読み間違えた。つまり、自分で書いていない、官僚の作文を読んだだけだから間違える。自分が間違えたのに、速記録を後から書き換えさせるって、すごいな、この人は。公的な発言を正確に記録して未来に残そうという気持ちがまるでないようだ。
安倍内閣もそうだけれど、スガ内閣の公文書は、後の歴史家にとって「信頼できない文書」になるのだろう。「当時の公文書にこう書いてあるが、それが歴史の事実かどうかはわからない」って。
追記2:スガさんは心の中で「やりすぎた、しまった」と思っているのかもしれません。
でももう引き返せなくなってしまいました。
自分が埋めた地雷を自分が踏んでしまったようです。でももう地雷原を突破するしかない。突っ切れば、そのうち国民も忘れるだろう、ってとこかな。国民は忘れっぽいから、モリ・カケ・サクラも忘れてくれたから(忘れてないけど)、またすぐ忘れてくれるだろうと、なめられてますね。
もっと早い段階で「事務的なミスで一部の方のお名前が抜けていました。たいへん失礼いたしました」とでも言っておけば傷口を広げずに済んだのに。あとから作った理由など、言えば言うほど傷が広がるだけですよ。
追記3:任命された学者の中に、共謀罪や安保法などに反対した学者が何名もおられるそうです。
「政府の方針を批判したのが任命拒否の理由ではない」というのではなくて、
おそらくスガ政権の情報収集能力(諜報能力)が低すぎて、反対した学者を何名も見逃してしまったということなのでしょう。特に、人文系以外の学者にまで手が回らなかったというのが真相だろうと思います。
追記3その2:深読みすれば、次のような可能性もあります。
「どういう主張をした人にどういう制裁を課すか、そこに一貫性があれば手の内を読まれてしまう。手の内を読まれないように、批判意見を述べた学者の中から一部の人を排除し、誰が排除されるのか分からないという不気味さを演出したのではないか。学者の側も排除の法則性がつかめず、恐怖心が増すのではないか。そうやって批判意見を封じるのではないか。」という可能性です。
もし、スガ氏がそこまで考えていたなら恐ろしい支配能力です。
でも、スガ氏の答弁を聞いていると、あとづけの支離滅裂な屁理屈ばかりで、綿密な作戦で一部の人を排除したとは思えません。もし綿密な作戦で法則性をつかめないようにしたのなら、あとから追求されたときにどう答弁するのかも綿密に計画していたでしょうに・・・・。私は、単に、杉田氏が使った公立探偵らの情報収集能力(諜報能力)の水準が低すぎて、批判した学者を何人も見逃したというのが真相ではないのかと思います。
追記4:滝川事件や天皇機関説事件などが日本史の教科書に載っているように、菅(スガ)内閣の日本学術会議任命拒否事件として後の教科書に載る日が来るかもしれません。
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