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新語法(ニュースピーク)解説

 

首相とその取り巻きたちは、新語法(ニュースピーク)、二重語法(ダブルスピーク)、意図的な言葉の誤用を連発しています。国家の中枢がこれではねえ、と、悲しくなってしまいます。

首相たちが使う独特の言葉と、その本当の意味を解説します。

(彼らの語法)→(本当の意味)

積極的平和主義→積極的に軍事力で相手を抑えつけて平和を維持しようとする考え(しばしば軍事衝突を招く)。

平和のため→戦争ができる状態にするため。戦争ができる状態にしておけば相手は戦争をしかけてこないから平和だという理屈(しばしば軍事衝突を招く)。

安全→危険な状態、戦争ができる状態

リスクは高まらない→比べようもないくらいリスクが高まる

寄り添って→相手の意に反しても強引に

丁寧に説明し(=丁寧な説明をつくす)→相手の言うことを聞かない。聞かれても無視する。ごまかす。話をすり替え、問われたことに答えずに、一方的に持論を延々と述べる。

謙虚に→無反省に、あるいは異論を無視し

理解していただく→理解不能な屁理屈や非論理的主張を受け入れてもらう。受け入れなければ力ずくで押しつける。

粛々と→住民の声を完全に無視し

法治国家→恣意的に法律を解釈する国家。明かな法の定め(特に憲法)を骨抜きにする国家。国民に対しては法の規定を強要し、政府の側は強引な解釈で法の規定をすり抜ける国家。

完全にブロックされている→原発事故に関しては、垂れ流しになっている、制御不能になっている、という意味。首相が党内の異論を抑え込んでいるという意味では、文字通り、党内の異論は完全にブロックされている。やがて、マスコミの報道も完全にブロックされる時代が来るのかもしれない。

反省し→何も悪いことをしたとは思わないが、アメリカの顔色や国民の世論をうかがいながらそれを言わないでおく。

地方創世→地方には何もしない、あるいは役に立たないハコモノだけはつくる。

地方→差別してもよい地域 基地や原発や産廃処理場を押し付けていい地域

沖縄→本土の捨て石、捨て駒

行政の継続性→「地方の負担の継続性」という意味。たとえば、沖縄の基地負担は今後も継続させるといった意味で、地方に負担を押しつけるときに使われ、政府には当てはまらない。政府は時の首相の意向でこれまでの方針をコロッと変える。自分たち自身の行政の継続性など関係ない。二重基準の典型。首相や官房長官が大好きな言葉。

国民のため→自分のイデオロギーに沿う人のため、財界のため、アメリカのため

国民を守る→国民を犠牲にしても国家の体制や自分たちのイデオロギーを守る。

私の責任→私は何の責任もとらない、やばくなったら電撃辞任して逃げるつもりだ。

責任は私にある→同上

絶対にない→たぶんある、今はなくとも今後ある。

ありえない→同上

言論の自由→政府が国民の言論を監視し、抑圧する自由。報道に介入する自由。

報道の自由→政府寄りの報道をするように圧力をかける自由。NHKの人事に介入したり、テレビ局に文書を送りつけたり、番組の担当者を呼び出したりする自由。

雑音→マスコミの質問

レッテル貼り→正しい指摘。例:「安保法が戦争法だと言うのはレッテル貼りだ」

誤解→同じく、正しい指摘

中立→政権を批判しないこと(つまり政権寄りであること)。 例:「中立な報道」「教育の中立性」

中立性を求める→批判しないように圧力をかける。

偏向→政権に同調しないこと 特に、政権を批判する報道のこと。

偏っている→同上 

政府の対応に問題はなかった→政府は適切な対応をしなかった、政権に対応する能力がなかった。

民主主義国家→「民主的」な選挙で選ばれた党の代表が全権を持ち、公約したことをせず、公約にないことを力づくでやる国家。つまり、強権支配、独裁制へ向かってゆく国家。

最高裁の判例→最高裁の判断とは何も関係ない強引なこじつけ。例:砂川事件の判決と安保法

内閣法制局→内閣の歪んだ法解釈や憲法違反の可能性が高い閣議決定を是認する機関(かつては法に忠実で「集団的自衛権は認められない」と明言していたが、第二次安倍内閣の介入に屈して変質した)

愛国心→戦前の日本を取り戻そうと願いながらアメリカに媚びようとする矛盾した心情。

道徳教育→権力に逆らわないことを教える教育。政権を批判しない生徒を養成する教育。違法、脱法の行為は、ばれないようにするよう文部科学省が範となって示す教育。

百田某氏→首相の分身、代弁者。首相が思っていても立場上言えないことを代わりに言ってくれる人。

自由民主党(自民党)→「個人の自由」や主権者である国民の「民主主義」を嫌悪する政党。名前に反し、自由でも民主的でもない。自由な言論活動を嫌い、有形無形の種々の圧力をかけて言論を委縮させることを好む。国民の手による国家ではなく国家あっての国民、国家のための国民という考えに立つ。国民の命を犠牲にしても国家の体制や秩序を守ろうとした戦前の日本に憧れつつも、財界と手を結び、アメリカの忠犬として働く。原子力発電やプルトニウムの保有も大好き。核の最終処分のことは何も考えていない。今も、未来を考えず、全国で無駄な公共事業を次々に展開し、各地にお金をばらまいていることもあってそれなりの支持率がある。税金と未来からの借金による支持工作とも言える。これまでずっとこの党が中心となって借金を重ねてきたので、国の借金は1千兆円を超えてしまったが、まったく返済のめどは立っていない。いずれ人為的にインフレを引き起こすのか、自然に超インフレが来るのを待っているのか、あるいは何も考えていないのか、我々にはわからない。

アベノミクス→いろいろ理屈をこねてはいるが、簡単に言えば、お金を刷って円の価値を下げ、輸出を有利にして大企業をもうけさせる手法。そんなことをすれば国債が暴落しそうだが、日銀が大量に買うことで暴落を防いでいる。きわめて危険な綱渡りであり、一時的に一部の人が潤っても、庶民にはほとんど恩恵がなく、破綻が加速する可能性が高い。アホノミクスとも呼ばれている。大企業は一時的にはもうかるので、財界からは支持されている。これで勢いをつけ、軍需産業を拡大させてゆくのではないか、とも言われている。そのためにも、やはり平和憲法は邪魔なのであろう。ちなみに、「アベノミクス」政策を実施するため首相は日銀の人事にも介入した。

思いつくまま挙げてみても、「彼らの語法」がどんどん浮かんできます。きりがないのでこれくらいにしておきます。ちなみに、これまでのあべこべ氏や氏の取り巻きたちの支離滅裂な発言の数々を、上の本当の意味と入れ替えて読むと発言に筋道が出てきます(賛成はしませんが、一応、筋は通ります)。

かつて、自民党内部にはさまざまな意見があったし、良識ある人もたくさんいました。過去の自民党が理想的だったとは言いませんが、少なくとも、一枚岩ではありませんでした。それが今は、ほぼ一色の一枚岩です。あべこべ氏が党を制圧し、良識派はほぼ駆逐されました。あべこべ氏にへつらう勢力が主流で、あとはせいぜい沈黙です。自民党の国会議員の中で、声をあげる良識派と言えば村上誠一郎氏くらいです。心の中に良識を持つ自民党議員は他にもいるでしょう。だったら「黙っていないで声をあげてください」と言いたい。国民とともに。

(伊藤一滴)

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