山里の日々
また、春が来ます。山里に、また同じように春がきます。毎年同じように季節がめぐるのに、同じことの繰り返しだから退屈かというとそうではなくて、大自然の中の古民家に住んで感じるのは、日々の新鮮さと安らぎです。
仕事を終えて山里の家に帰ると、「パパー、お帰りー!」と3歳になる娘が駆け寄ってきます。「だっこ、だっこ」とせがむので、だっこしてあげると、「私、パパのこと、だーい好き」と言って私の顔をなでてくれます。「大きくなってもパパのこと好き?」と聞くと、「うん。大きくなっても、パパのこと、だーい好き」と言います。そうやって、同じことを何度も言うのですが、何度言われても嬉しいです。
休日の午後、横になって休んでいると、娘が私の所にやって来て、私の上に乗ったり顔を触ったり。こっちはおちおち休んでもいられませんが、叱るわけにもいかず、しばらく相手をしてあげます。そのうち、静かになり、私に寄り添って、指を吸いながらスヤスヤ寝ています。
小学生の兄2人と娘、わが家の3人の子どもたちは、自然に恵まれた中で元気に遊びます。お兄ちゃんたちは山里に来てから体力もついたようで、あまり風邪も引かなくなりました。もともと山里育ちの娘は、医者にかかったことが1度もありません。健康そのものです。
お兄ちゃんたち、ときどきDS(任天堂の小型ゲーム機)で遊んでいることもありますが、外に行って、雪の上に何か描いたり、大きな雪だるまを作ったりして遊ぶのも大好きです。夕方や吹雪の日は薪ストーブのそばで将棋やオセロゲームで遊んだりしています。もっと相手をしてあげたいんですが、今月は予定が詰まっていて、「ごめん、ごめん。来月は将棋をやろう」って言っています。
妻は、山里に来るまで薪を焚いたことがなかったそうですが、今ではすっかり薪割りもうまくなり、火を焚いて部屋を暖めておいてくれます。火のある暮らしはいいです。ぽかぽか暖かいだけでなく、なんだか、精神的にもほっとします。
それぞれの立場もあるのでしょうが、古民家を取り壊して新築したとか、子育て世代が町外に転出したとか聞くと、「もったいないなー」と思ってしまいます。
私たち家族にとって、山里の暮らしは、子どもが育つ環境や経済性・長期持続性なども含め、実に暮らしやすい環境です。だんだん春が近づく中で、山里暮らしのありがたさをあらためて感じています。(伊藤)
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