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田植え

5月21日に田植えをしました。
以前、家庭菜園に陸稲(おかぼ)を植えたことはありましたが、水田で田植えをするのは生まれて初めてのことでした。
もう、前日からそわそわし、子どもの頃の修学旅行の前日みたいに、なかなか眠れませんでした。
なんか、早乙女になったような気分でした(なったことはありませんが)。

当日の朝は早く起きて、中古で買った小さな田植え機をまず田んぼに運び、次に苗箱を軽トラで運びました。それから、麦わら帽子をかぶり、田植え用の長靴をはいてスタンバイし、地主の真壁(まかべ)さんの家に「今から田植えを始めます」と挨拶に行きました。真壁さんは一緒に田んぼまで来てくれました。

さて、最初から田植え機がうまく動かなくなり、機械屋さんに山里の田んぼまで来てもらうといったアクシデントもありましたが、午前10時半頃にはすべて整い、生まれて初めての田植えの開始です。
ブルル~ンと三菱農機のホンダ製エンジン(本当)がうなり、ガシャッ、ガシャッ、と田植え機は進み、私は操作しながら歩きます。不慣れな操作なので、初めのうちはジグザグになったり、間隔が広すぎたり狭すぎたり、機械にセットした苗を田んぼの真ん中で使い切ってしまい、泥の中から上がってきてまた泥の中に補充に行ったりとか、いろいろありましたが、だんだん慣れてくると順調にいきました。

1反と少し(10アール強)の田んぼですが、8割くらい、機械で植えました。妻に苗を持つのを手伝ってもらったりしながら約1時間で植えました。その間、真壁さんが畦道(あぜみち)で娘の相手をしてくれました。こっちは申し訳ないと思ったのですが、なんだか、真壁さん、楽しそうです。
残り2割は機械が入りにくい隅の部分や、田んぼの泥が深くて機械植えが困難な場所で、午後から手で植えました。手植えに約4時間かかりました。
8割を機械で植えて1時間、2割を手で植えて4時間、合計5時間。これが私の始めての田植え体験でした。

どろどろの田んぼなんて、もっと冷たいのかと想像していたら、ぬるい感じで不快なものではありません。田んぼに入っている間は寒くないのですが、上がってくると、ぬれた服に風が当たって寒いです。泥のプールみたいな感じです。
田植え用の長靴というのがあって、農業資材店で買いました。ふつうの長靴より薄いゴム製で、ひざ下まであり、足にぴったり密着する長靴です。事前にはいてみたらあんまりぴったりするので、サイズを間違えたのかと思ったくらいです。この長靴、泥の中で歩きやすく、とてもよくできています。ただ、作業後に1人で脱ぐのが難しく、子どもたちに引っ張ってもらってやっと脱ぎました。「スピード社の水着みたいだね」と次男が言ってました。

「経験」も遺伝するのか、私にはわかりませんが、手で植えるとき体が動くのです。右手の親指・人差し指・中指の3本で、数本の苗をつかんで植えていきます。自分の体をバックさせながら進みます。生まれて初めてで、習ったこともないのに、なんだか、無意識に体が動くのです。自分でも不思議でした。

手で田植えをすると田んぼがよく見えます。タニシが多いです。カエルもいます。あんまりありがたくないけれど、ヒルも少しいます。水面にアメンボもいます。時々腰を伸ばすと、5月の新緑の中、さわやかな風が吹いています。
やはり、気分は早乙女。やはり、田んぼは神秘的な小宇宙です。(伊藤)

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