« 匂いの記憶 | メイン | 人を幸せにしない産業文明 »

もったいない

設計事務所のゴミがたまってきたので、まとめて軽トラに積み、ゴミ処分場へ持って行ってきました。
処分場へゴミを出しに行くたびに、誰かが捨てていった使えそうな物品の数々を目にし、「もったいない!」と思ってしまいます。

廃棄処分を待つ和ダンスが、いくつも無造作に置いてありました。杉の古ダンスが多かったのですが、ていねいな造りの桐タンスもありました。金具もていねいにできた真鍮製で、いい色でした。
ちょうど手ごろな大きさのケヤキのちゃぶ台も放り出してありました。いい感じに古びた色で、どこも壊れておらず、あんまりもったいなくて処分場の職員さんに聞いてみました。
「これ、もらっていっちゃダメですか?」
「お気持はわかりますが・・・・・、ゴミとして受け取ったものですから、差し上げるわけにはいかないんですよ。たしかに、もったいないんですけどねぇ。」

あのちゃぶ台やタンス、欲しい人もいるだろうし、それなりの値がつくだろうにと思ってしまいました。
自分のゴミだけ渡したらあとはよそ見せずに帰ろうと思っても、つい、目に入ってきます。
昔の職人がていねいに作った障子戸の数々、和家具の数々、火鉢や火消しつぼ、焼き物や塗り物、見た感じでは壊れていないものが多いです。そうしたものが今からつぶされたり焼かれたりするのかと思うと、いたたまれない気持になりました。

かつて職人が一つ一つ手作りしたものがゴミにされ、大量生産品にとってかわられるのは、なんだか、たまらないですね。ものがあふれる時代の不幸を思ってしまいます。(伊藤)

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。