子どもは親を選んで生まれてくる?
娘が2歳を過ぎて、だいぶしゃべるようになったので、
「ねえ、まーちゃん。生まれる前のこと、覚えてる?」
と聞いてみました。「生まれる」というのがよくわからなかったのか、きょとんとしていたので、
「ママのお腹の中にいたときのこと、覚えてる?」と聞きなおしました。
そしたら、
「うん。ぐるぐるしてたの」
と言うのです。たしかに、逆子になったり、戻ったりして、ぐるぐるした子です。
「ほんとうに覚えているの?」
って念を押して聞いたら、
「うん。ぐるぐるしてたの」
とまた言って、体を動かしてみせるのです。
そばで聞いていた小1の次男が、
「僕も少し覚えてるよ。ママの心臓のドッキンドッキンいう音が聞こえてたし、パパやお兄ちゃんの声も聞こえたよ。生まれるときはね、黄色い光が見えて、光の方に進んだら生まれたの。あとは覚えてない。3歳くらいになるまで覚えてない」
と言います。前に聞いたときは「何も覚えていない」と言っていたのに、そのあと思い出したのか、それとも想像で言っているのか、よくわかりません。
小3の長男も来て、
「僕はね、水を飲もうとしたら生まれたの。ママのお腹の中でずっと水を飲んでいたから、生まれてからも水を飲もうとして口を開けたら、『この子ったら、生まれたばかりであくびしてる』ってパパが言ったんだよ」
と言うのです。
長男は生まれたその日に大きく口を開け、あくびをしているように見えたので、「この子ったら、生まれたばかりであくびしてる」と私が言ったのは事実です。でも、長男にその話をしたことがあるので、それが生まれた日の記憶の証拠とは言えません。
長男や次男は想像を交えて言っている可能性もありますが、「黄色い光」とか「ママのお腹の中でずっと水を飲んでいた」とか、ちょっと気になる言葉です。
娘は、まだ2歳ちょっとですから、もしかすると本当に胎内の記憶があるのかもしれないと思えてきます。
胎内にいたときの記憶を持つ子どもがいることについて、福島大学の飯田史彦教授も報告しておられるそうで、胎内記憶それ自体は否定できなくなってきました。
さて、
産婦人科医の池川明氏が『子どもは親を選んで生まれてくる』[日本教文社]という本を上梓されました。著者は産婦人科医院の院長もしている医師であり、変なオカルトの人ではありません。
この本で初めて、「子どもは親を選んで生まれてくる」という説があるのを知りました。
その説によると、子どもは親の幸せを願い、また、人のために役立つ人生をおくることを願って親を選んで生まれてくるというのです。
この説を知ったときにまず感じたのは、苦しい目にあったり、親から虐待されて死んでしまう子さえいるのに、そういう子でも親を選んで生まれるのか、という疑問でした。
やはりそういう疑問は多いのか、著者自身が答えていました。
引用「“子どもは親を選んでいる”というと、必ず“虐待される子どもも自分で両親を選ぶのですか”という質問が出されます。答えは“イエス”。ある小学生のお嬢さんは、“子どもは虐待されることも全部知って生まれてきます。それは親に『そんなことをしてはいけないよ』 と教えるためです。もし役目に失敗しても、何度でも生まれかわって 同じことを繰り返します”と語っています。
子どもたちがそんな健気な気持ちで生まれてくれたことを知って、親が少しでも気持ちを変えてくれるといいなと思います」
また著者は、たとえ流産や死産でも意味があり、子どもは自分がそうなるのを知りつつ宿ると言います。
これは馬鹿げた珍説なのか、画期的な新説なのか、それとも、苦しんでいる人たちに希望を与えるための善意による一種の方便なのか、私には、何とも言えません。
「嘘も方便」と言いますが、仮にこの話が方便であるとしても、これは実によく出来た方便です。この方便を使うことで、親子関係の改善や自分の生き方の見直しにもなりますし、人生の苦難は無意味ではない、必ず意味があるのだと説明づけることもできるからです。もちろん、今苦しんでいる人に対し、「そうなるのを知っていて親を選んだんだから仕方ないだろう」なんて、話を持っていくべきでないのは言うまでもないことですが・・・・・。
それにこの説は、エリザベス先生(キューブラー・ロス博士)が言う「人生はレッスンの場」で「人がこの地上で生きる目的は、愛し、愛され、成長すること」という言葉とも矛盾しません。
世には怪しげな「精神世界」や「霊界」を語る人もおり、中には恐怖心をあおるものや恫喝的なものもあるので、私も警戒しています。しかし、池川氏の説は、たとえ方便であるにしても、恐怖ではなく希望を与えるものに思えます。
もし、池川氏がおっしゃるように「子どもは親を選んで生まれてくる」のが事実だとしたら・・・・・、これまでの哲学的・宗教的な論考の数々は見直しを迫られるのではないかとさえ思えてきます。(伊藤)
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